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第3話 精霊との契約





 私、レイン•アルファスはもうすぐ6歳になる。

 ここまで長い道程であった。

 まさか、産まれた直後から自我があるとは思わなかった。

 0歳で自我があると思われたら気持ち悪いと思われるかもしれない、まぁ話せないので意味は無いのだが。

 だから家族や使用人たちの前では喜怒哀楽の表情に気をつけた。

 女神エリフィス様が私にもこの世界の言葉を分かるようにしてくれたみたいだが、どこの世界に言葉が分かる0歳児がいる。


「シルフィ、暇だよ〜」


『まったく、本でも読んでいたらいいじゃない?』


 呆れた声で言ってくるのはシルフィ、僕が契約した風の精霊である。

 どうやら僕レインは精霊との親和性が良いらしく5歳の頃ベランダでシルフィと出会った。

 そしてその時、自分に興味を惹かれたのか風の精霊と契約したのである。


「本ねぇ〜、殆ど読んでしまったからなぁ〜」


『この屋敷の書庫けっこう量無かった?』


 アルファス家の書庫は現代での図書館並みに本があるのだ。

 優に10万冊以上の本があり、子供向けの絵本から禁忌と呼ばれる魔法が書かれた本までさまざまである。

 レインは普段は良くお姉ちゃんやお母さんなどに本を読んでもらうのだが、今はお姉ちゃんはお兄ちゃんと同じ学園に入り寮生活をしている。

 学園は9歳から入る事が出来る為、僕も9歳になったら試験を受けて入るつもりである。

 お母さんはよく知らないが、有名な精霊術師なようでちょくちょく依頼が舞い込んで来ていてレインはお留守番である。


「レインは読めないからって取ってくれないんだもん。シルフィ〜教えてよぉ。」


『ふふふ、まぁ私は風を司る精霊だからね。下手な精霊より情報量は多いわよ。それで何について知りたいの?』


「ん〜と、精霊について。」


『う〜ん、まぁ君なら良いかな?』


「?」


 シルフィはあまり話したがらなそうだったが、考えて一度僕を見ると意を決したように話し始めた。

 と思ったらシルフィと出会った時の事を聞いていたのである。

 当然忘れるはずがない。


『え〜と、私と始めて出会った時の事覚えてる?』


「当たり前だよ、去年の秋だったよね?僕がベランダに居た時、空になんかフワフワ飛んでいた君がいたから声を掛けたらめっちゃ驚いていたじゃない。」


『えぇ、あの時は驚いたわ。いきなり人間に話しかけられるんだもの。』


「そりゃあ、フワフワ浮いていたら気になるじゃない?」


 あの時、僕はラノベでよく見る精霊だぁ!と興奮していてしっかりと記憶の中にある。

 今でも鮮明に覚えているくらい興奮していた事もしっかりと覚えている。


『いや、そういう事じゃないのよ、レイン。実は人間には私達精霊が見えないのよ。』


「え?今はっきりとシルフィの姿が見えているよ?」


『えぇっとね、なんて説明したら良いのかしら。私達精霊は可視化して人間達に姿を見せる事が出来るの。その可視化には力を使うのだけれどね、精霊と契約したら力を使わないでも可視化が出来るのよ。』


 つまり、普通はよほどの事がない限り精霊を見る事はできなく、契約したら初めてその姿を見る事が出来る、という事である。


「なるほど、それで?」


『あの時、何故私が驚いたかというと、あの時私は可視化していなかったのよ。なのに人間に見つけられた、だから驚いていたのよ。』


「え?じゃあ僕はなんで可視化していないシルフィを見られたの?」


『恐らく貴方は精霊との親和性がとても高いのよ。だから可視化していない私を見れたのだわ。』


 その時自分は一瞬ドキッとした。

 恐らく、いや間違いなく女神効果だと。

 エリフィスが言っていたプレゼントとはこの事だったのだ。

 いや、ラノベオタクの自分としてはこの上ないプレゼントなんだけどね。


「そうなんだ、じゃあ他の人はどうやって精霊と契約をするの?」


『私達精霊がその人間を気に入ったら可視化して契約するのよ。でも私が気に入った人間は貴方が初めてなのよ。多分私と契約した事がバレたら貴方は宮廷精霊術師になれるわね、ふふふ。』


 初めはこの意味がよくわからなかった。

 宮廷精霊術師は上位精霊クラスと契約してなければならない。

 そして今この国で上位精霊術師と契約しているのは宮廷精霊術師ともう一人、レインの母であるアルシア•アルファスである。


「?、精霊と契約するのは珍しいの?お父さんもお母さんも精霊と契約しているよ?」


『まぁ、このアルファス家が特殊なのもあるけど、実は私は風の大精霊なのよ。』


 そう言った時、一瞬僕はフリーズした。

 そして何回か目をパチパチして正気を取り戻した。

 【大精霊】、本で読んだ事がある。

 精霊は各属性ごとに下から初位精霊•下位精霊•中位精霊•上位精霊•大精霊の5つがあり全ての精霊を束ねるのが精霊王である。

 属性は火•水•風•光•闇•木•雷•土•無の9つが存在しており、人にはそれぞれ適正と言うものがあり、持って無い人は居ない。

 各人少なくとも1つや2つ、宮廷精霊術師クラスになると4つや5つ持っている人もいる。

 レインはまだその適正検査を受けていない為、分からないないが、少なくとも風の大精霊と契約したと言う事は風の適正はあるのである。

 下位精霊や中位精霊は沢山存在しているが、上位精霊は各2体、大精霊に至っては各1体ずつしかいないのである。

 つまり自分の前にいるシルフィは風属性の精霊を束ねる大精霊なのである。


「え!?シルフィが大精霊?大精霊ってあの大精霊?」


『ふふふ、今まで黙っていてごめんなさい。絶対に驚くと思って黙っていたのよ。』


「すごぉ〜い。シルフィって大精霊だったんだぁ。お父さんは炎属性の中位精霊って言ってたし、お母さんは土属性の上位精霊って言ってたのに僕は大精霊か〜。」


 大精霊と契約した事よりもお母さんを超えられた事が嬉しかった。

 いや、大精霊と契約しているので自分を超えられる人は居ないであろう。


『ふふふ、やっぱり驚くよね。あと一つ言っておくけど上位精霊と契約するのも凄いのよ。普通の人は契約しても初位精霊とか下位精霊だからね。まぁ私が言ってもなんの説得力も無いんだけれどね。』


「ん?さっきアルファス家が特殊って言っていたけど、その事?」


『ええ、そうよ。アルファス家には精霊との親和性が高い人が多いのよ。だからアルファス領には精霊が多くてね、精霊の加護が与えられているのよ。ちなみに貴方のお母さん以外に上位精霊と契約している宮廷精霊術師は貴方のお爺さんよ。』


 だからアルファス領は豊かなんだと、僕は初めて知った。

 アルファス領はこの国1番豊か土地であり、1番広い。

 その大きさは日本の約1.2倍ほどの面積があり、この国にある領地の中で1番豊かなのである。


「へぇ〜お爺さんなんだぁ。それにしてもシルフィすごーい。」


『まぁ、加護を与えている大精霊のうちの一人だけどね。レイン、私が大精霊だと言う事は家族以外に言っては駄目よ?いや、家族にもまだ話さない方が良いわね。大精霊と契約するなんて前代未聞だもの、いくらアルファス家と言えども国に潰されるわ。』


 僕に褒められて嬉しかったのかシルフィも嬉しそうである。

 まぁ当然よ!みたいな感じで話しているが僕には分かる、顔が少しニヤついている。


「う、うん。分かった。でもシルフィが大精霊だと気付かれないの?」


『私みたいな大精霊になると魔力を自在にコントロール出来るの。だから精霊術師が見ても中位精霊だと思われるようにコントロールしておくわ。』


 宮廷精霊術師が僕のお爺さんなら大丈夫じゃ無い?と思ったりするが、まぁ一応念の為だ。


「中位精霊なら大丈夫なの?」


「う〜ん、貴方の歳で中位精霊と契約しているのも珍しいけどアルファス家と言えば多分大丈夫だと思う。多分」


「確かお爺さんの宮廷精霊術師とお母さんが上位精霊で最高だったよね?5歳の僕が下位精霊だから大丈夫なのかな?」


 そこ、そこの所が1番心配なのである。 5歳で中位精霊と契約してるなんて知られて家から出なければならないとか最悪である。

 まぁ、お父さんとお母さんがなんとかしてくれそうだが、国もそんな人を簡単に諦めるとはとても思えない。


『別に過去に居なかった訳じゃないから大丈夫だと思う。まぁ珍しい事に変わりないけど、「将来有望だね。」で終わりだと思う。』


「終わらないと思う。」


 僕がそう言い、ジト目でシルフィを見ているとあからさまに目を晒された。

 やっぱりシルフィも終わるとは思っていないんだ。


『ま、まぁ、私に任せていたら大丈夫よ。貴方は私に気に入られたのよ。なんかあっても全ての力を使ってでも守ってあげるわ。』


「ありがとうシルフィ。これからも宜しく。」


『宜しく、レイン。じゃあこれから両親に話に行こうか、まぁ中位精霊だと紹介しておかなくちゃ。』


「そうだね、行こう!」


 そうして僕達は両親の部屋へ向かった。

 そして気づいた。

 両親は今、家にいない事を、そしてしばらくすると両親が帰ってきた為、僕達は両親の元へ向かった。




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