第28話 夏休みの宿題2
『はぁ!なにいっているの!?貴方がレインの護衛?レインの護衛は私1人で十分よ!たったそれだけ宿題も終わらせない人に言われたくないわね!』
はぁ、勝手に出てこないでよシルフィ。
ってかシルフィって僕の護衛だったんだ、でも契約精霊は契約者を守ろうとするって言っていたから間違いないのか。
「なんだと!宿題も出来ない精霊に言われたくないな。」
「はぁ、カノンは精霊学で何を学んだんだよ。」
「ほんと、風属性の精霊に対してなんて事言っているのよ。」
「え?2人ともどうしたの?」
「風属性の精霊は知識の精霊と呼ばれるほど知識が豊富なのよ?学者の世界では風属性の精霊と契約してこそようやく一人前と呼ばれるほどなのよ。」
そう、風属性の精霊は話好きの為、色々な情報を持っており精霊の中で一番知識が豊富なのである。
だが、そもそも風属性の精霊が人間をあまり信用していないが為にその情報は人間に渡る事は滅多にない。
『あら、そこのお馬鹿さんと違って2人はよく勉強しているわね。関心よ。』
「• • • •」
「都合が悪くなると急に黙り出すんだから、」
『ほんと、人間って言うのは全く。気をつけなさいよレイン。』
都合が悪くなり、急に黙り出すカノンを呆れたような表情で見ていたシルフィは僕にそう言った後、光の球となり僕の身体の中へと入って行った。
「うん、ありがとうシルフィ。」
「ところで、レインはさっきからずっと何読んでいるの?」
「ん?あぁ、アルファス領の地理や歴史などが書かれた《アルファス地理史》って言う本だよ。僕も王子になっちゃうからね。」
アルファス地理史は全12巻のアルファス領について書かれた専門書であり学校の図書塔から借りてきたのである。
ちなみにSクラスの生徒は本は借り放題、上限無しである。
「そうか、レインも王子かぁ。」
「なんかレインが王様になったら凄い国家になりそうですね。」
「あぁ、なんか分かる気がする。」
『この私が認めたんですから当然です!』
ちょっとシルフィ、僕の中に戻ったんちゃうんかい!なんか身体の中から声が出ているってちょっときみ悪いな。
「ちょっと皆んな。お父さんもいるしお兄様もいるんですよまだ何十年も先の話だよ。」
「さぁてと、それはどうかな?」
「え?シリウス兄様、どうしてここに。」
え?なんでシリウス兄様とルーシアお姉様がここに?ルーシアお姉様は中等部だからまだ分かりますけど、シリウス兄様は高等部じゃなかったっけ?
ってかもう2人とも家に帰ったと思ってたよ。
「ん?いや、家に帰ろうかと思ってね、夏休みの宿題も終わらせたし。なぁルー。」
「ええ、夏休みの宿題は先にやった方が後で楽ができますからね。」
「え?え?まさかシリウス様とルーシア様?レイン、知り合いなの!?」
「あの氷の剣のシリウス様と炎の魔法のルーシア様!?本物!?」
氷の剣のシリウス?炎の魔法のアーシア?2人ともそんな二つ名が付いていたの?
ってか2人がお兄様とお姉様ってよく考えたら皆んなに言ってなかったな。
「ん?言ってなかった?この2人は僕のお兄様とお姉様だよ。」
「あ!確かにシリウス•アルファス様とルーシア•アルファス様でしたね。」
「あ、レイン。そのクッキー俺も貰うよ。」
そう言うとシリウス兄様はさっき僕が売店で買ってきたクミの実入りのクッキーを摘んだ、これ地味に美味しいんだよなぁ。
「どうぞ、お兄様。」
「レインはいつ帰るの?」
「カノンが今日中に終わると思うので明日に帰ろうと思います。」
僕がそう言うとルーシアお姉様が困った顔をした、なんでだ?
「あらあら、あとどのくらいあるの?」
「え?あ、あと15ページです。」
「15ページもあるなら今日中には終わらなさそうだな。」
普通は1日2ページのペースだぞ。ちなみに宿題は人によって違うが僕とエルナは90ページ、ラーラは85ページ、カノンは75ページである。
今は15時、普通に考えてあと9時間で終わる量では無い、僕なら終わるが。
「ええ、そうですわね。カノン君、よければ私が教えてあげますがどうしますか?」
「え!?あのルーシア様とのマンツーマン?羨ましい!」
「ぜ、是非お願いしますルーシア様!」
ルーシアお姉様は中等部一の秀才と呼ばれるほど賢い、入学時の学力テスト以外は全て満点であり、魔法の実力も一流の為、学年順位及びクラス順位は一位から落ちた事がないらしい。
「ええ、よろしくね。」
「はぁ、私に教えを請うなら無理って突っぱねるのに、生徒同士なら止められないじゃないか。」
横で僕達の話を聞いていたルミエス先生が呆れたように呟いた。
「あら、ルミエス先生、お久しぶりです。」
「まぁ、ゆっくりしていってくれ。決して答えは教えるなよ?」
「ええ、当然ですわ。」
「お兄様が夏休みの宿題を全て終わらせるなんて珍しですね。去年は確か最後の5日間必至になってやっていませんでした?」
去年、僕がまだ学園に入学していなかった頃、シリウス兄様は夏休みに家に帰ってきて帰る直前になってお父様とお母様に怒られながら缶詰にされて5日間部屋に篭って宿題を終わらせていたのである。
ちなみにルーお姉様はコツコツ毎日宿題を終わらせていた、流石です。
「う、うん。まぁそうだったんだけどね。」
「シリウス兄様はステラ姉様に夏休みの宿題が終わるまでアルファス領に戻ってくるな。と言われてしまいましたので必至になって2日間で終わらせたんですわ。」
あのステラ姉様なら言うな。
ステラ姉様は性格がお母様に似ていて嫌なことはサッサと終わらせるタイプで、多分僕もその性格を受け継いだのかな?
ちなみに嫌いな事は先延ばしにするシリウス兄様はお父様と同じ性格、ルー姉様は丁度その中間だな。
「あの夏休みの宿題を経った2日間で、高等部の宿題は特に多いと聞きますのに。」
「ふ、当然かな。」
「ついでに、私が終わるまでレインと接触禁止と言ったのでもう、それは必至に。最終的には寝る間を惜しんでやろうとしてましたので催眠魔法で強制的に寝させましたから。」
流石、魔法テスト学年1位のルー姉様、催眠魔法って確か闇属性で使える人は少ないって聞いたがそれを実の兄に使うとは凄い。
ほら、みんなも口を開けて驚いているじゃ無い。
「「「• • • • • •」」」
「それで、やっと宿題を終わらせたと。」
「そういう事。私は賭けに勝ったので宿題が少なかったんですわ。」
「賭けに勝った?どういうこと。」
「クラス担任と勝負しましたの。魔法勝負に勝ったら宿題を半分、負けたら2倍、それで買ったから半分になったんですよ。」
はい!?なにその賭け?めっちゃ羨ましいんですけど。
でも絶対Sクラス担任のエミリア•リフェルティア先生はそんな事しないだろうなぁ、ってか夏休みの宿題なんか今日の午前中に終わったわ。
「お前の担任ってエルクル先生か?」
「ええ、そうですわよ。」
「どうしたんですか?ルミエス先生。」
「いや、さっきエルクル先生が学長にしこたま怒られてたからな。多分それだな。」
学長って事はエミリア先生の姉であり、アルファス家の専属魔術師のリレス•リフェルティアである。
あの人かぁ、学長先生怒ったら怖そうだなぁ。
「私の担任のエルクル先生は魔法に関してプライドが高いので、勝負を持ちかけたらアッサリとなってくれましたわ。」
「エルクルは国の宮廷魔術師団から派遣されている先生だからな。よっぽど魔法に関して自信があったんだろう。だからルーの申し入れを受け入れた。だが受け入れた相手が自分の上司でありルクレール王国宮廷魔術師の孫とは思わなかっただろうな。」
多分お母様と同じこの大陸で2人しかいない上位精霊と契約しているウィズリィ•アルファスだ。
ちなみに僕のおばあちゃんでもあり、家に遊びに行くたんびに可愛がってくれる。
「まぁ、そんな訳で宿題は全て終わったのでカイン君、さっそく宿題を全て終わらせるわよ。レインの為に。」
「は、はい。お願いします!」
ルー姉様、最後の一言が余計です。
小声で言っても僕にはちゃんと聞こえてますよ。
その後マンツーマンのレッスンを受けたカノンの宿題が終わった時間はラーラと同じであった。
ルーシアお姉様、恐るべし!




