第25話 魔導戦艦の弱点と衝撃の事実
「えぇ〜、現在は4ヶ所で魔導船が発掘される遺跡があります。元々港や軍港だったと思われる場所で、各国が保有している魔導船は全てこの4ヶ所の遺跡から発掘されています。」
日本の大学のキャンパスにありそうな階段状の講義室で説明しているのは海洋学のシエリア先生。
70代ぐらいの人族のお婆ちゃん先生であるが、海洋学会では有名な先生だそうだ。
海洋学を受講しているのは僕とエルナ、カインの3人だけなのでは別の学科を受講している。
「魔導戦艦とは現在の魔導技術では再現が不可能な程の極めて高い技術力で建造された古代文明の戦闘用艦艇の事です。
この船には時空遅遠魔法がかけられており現在も使用する事が出来、各国海軍の主力艦艇です。」
魔導戦艦は前世地球の第1次大戦から第2次大戦の時代の戦艦みたいな艦艇である。
魔導戦艦は1万t級の巡洋艦レベルから4万t級の戦艦レベルまであり、これまで見つかった最大の艦艇は5万t級である。
今までに17隻が発掘されており、全てが各国海軍の主力艦艇として使用されている。
正直帆船と戦艦はかなり差があり過ぎると思う。
しかしさっきから見ているが、教科書に描かれている魔導戦艦の見取り図を見ているが、どう見ても1930年代の戦艦だ。
おそらく、動力以外は全て同じであろう。
「世界最強の魔導戦艦【リテラル】は5万5000t級の大型魔導戦艦であり、2連装40cm魔導砲を4基搭載しており、それが一斉射撃されたらこのルクレール王国の王城も一撃で破壊されるでしょう。最もこの【リテラル】を保有しているのはルクレール王国海軍ですので、今のところその心配は有りませんが。」
大型魔導戦艦【リテラル】か、設計思想的にはアメリカに似たものがある。
こっちの4万t級中型魔導戦艦【テシート】は日本的な設計思想だが、おそらく建造された国家が違うのだろう。
ちなみに名前は艦艇に刻まれていたので、そのまま使用している。
「この大型魔導戦艦【リテラル】は4000人もの人員によって始めて起動出来る艦艇です。私の教え子達も現在ルクレール王国海軍で【リテラル】に乗っている者も何十名か居ます。現在はルクレール王国と帝国が険悪な感じになっている為、人員拡大で入りやすそうですね。」
帝国とはルクレール王国の北西側にあるエルシア帝国の事である。
エルシア帝国とは直接隣り合わせていないが、近年付近の小国を次々と侵攻、植民地化した為、緊張が高まっているのである。
そしてもし戦争になって海軍同士の戦いとなった時真っ先にエルシア帝国に狙われるのはうちのアルファス伯爵領である。
ちなみに魔導戦艦が配備されているのは本国でありアルファス領には帆船しか配備されていない。
「魔導戦艦の動力源は魔導船内に設置されている魔高炉であり、その数は大きければ大きいほど出力が高いですね。
例えばルクレール王国の保有する大型魔導戦艦【リテラル】は魔高炉を満タンにするには2週間ほど掛かると言われています。その容量は1万と言われてますが、魔高炉1つにつき1人の魔力しか流せず、別の人の魔力を流すと相反しあい性能が大幅に低下する為出来ないのです。その為宮廷魔術師でも5日間は必要なのです。」
どうやら魔導戦艦の動力はスクリューで、動力源は魔高炉、地球で言うガスタービン機関などの燃焼機関のようである。
煙突はあるが、出すのは魔力の残りカスであり、ある意味クリーンエネルギーである。
まぁ、俺が開発した水素タービン機関なら水しか出さないクリーン機関なんだけどね。
「今まで魔導戦艦同士の戦いは過去に2度ほどありましたが、皆さん分かりますか?はい、そこの貴方。」
「はい!一つ目がエルシア帝国とグリム王国との海戦で二つ目がエルシア帝国とルクレール王国との海戦です。」
階段状の教室の右斜め前に座っていた人が手を挙げ当てられて意気揚々と答えた。
どうやらこの2つの海戦は海洋学の中では非常に有名な話らしい。
有名な話らしい、と言うのはシルフィが全く教えてくれなかった為、分からずエルナに聞いたのである。
「はい、よく出来ました。この2つの海戦の結果は皆さんも知っての通り1つ目はエルシア帝国の勝利、グリム王国はエルシア帝国に併合され、現在グリム伯爵領となっています。そして2つ目の海戦は、これは有名ですね。ルクレール王国海軍の大型魔導戦艦【リテラル】とエルシア帝国海軍の中型魔導戦艦【ソルム】【タスコ】が戦い【ソルム】と【タスコ】は沈みました。」
エルシア帝国海軍の中型魔導戦艦【ソルム】と【タスコ】は同型艦らしく排水量は約3万tらしく、連装30cm魔導砲を3基搭載しているエルシア帝国海軍の主力魔導戦艦らしい。
どうやらルクレール王国の大型魔導戦艦【リテラル】の攻撃を受け2隻とも沈んだようである。
後に分かった事だが、魔導戦艦は魔高炉が被弾すると魔力が暴走、大爆破を起こすらしく【ソルム】と【タスコ】は魔高炉が被弾、大爆破を起こして沈んだようだ。
「ここまで魔導戦艦について見てきて無敵のように思えますが、魔導戦艦にも当然弱点があります。魔導戦艦は速力などの素早さを重視しながら攻撃力も重視した事により攻撃を受けた時の防御が極めて弱いのです。現に3連装40cm魔導砲を4基も搭載する【リテラル】は中型魔導戦艦【ソルム】の連装15cm副砲を4発受け1番3番砲塔を破壊され、さらに【タスコ】の7cm砲の攻撃を受け魔高炉を1つ破壊されました。現在は全て修理されてますが、このように攻撃を受けた場合の防御率の低さが問題です。しかしそのデメリットを差し引いても余る程の攻撃力というメリットがありますので魔導戦艦は最強兵器なのです。」
防御が弱いのか、なんかその辺は地球の戦艦とは違うな。
ちなみに何故、大型魔導戦艦【リテラル】の魔高炉は被弾したの魔力暴走で大爆破を起こさなかったかと言うと、残存魔力が少なすぎて船を破壊する程の爆発じゃなかったらしい。
その代わり魔高炉が搭載されている動力室とその上にある第6居住区は完全に爆発に巻き込まれて破壊され300人近くが巻き込まれて亡くなったようだ。
「続いて20年前に海上を漂っている所を発見され、その後使用不可で標的艦となった小型の艦艇について話そうと思います。」
そう言うとシエリア先生は教科書の73、74ページを開けるように言い、そのページ見開きで書かれている事を話し始めた。
「今から20年前、ルクレール王国海軍艦艇が海を漂ってる艦艇を発見しました。比較的新しく、これまでの艦艇とは違いマストが高く、排水量は1万t近くありました。しかし兵装は12.7cm砲が1基だけど貧弱で、回収したルクレール王国海軍が起動させようと魔力を流しましたが、反応は無く、また魔高炉も見当たらない為、古代文明の実験艦と判断されました。
この艦艇には見た事がない文字が書かれていましたが、後々に無属性魔法《全言語理解》を持っている担当官が調べた所その艦艇には【日本国海上自衛隊DDG-177,あたご】と書かれていた事が判明しました。」
日本国海上自衛隊DDG-177,あたご、僕はそのページ見開きに載っている写真に凄く見覚えがあった。
5インチ砲とVLSが付いている前部甲板、CIWSと色んなレーダーやアンテナが付いている艦橋、煙突とイルミネーターが付いている後部艦橋そして【こんごう型】と違いヘリ甲板が設置されている後部甲板。
その前級の【こんごう型】とは違い62口径127mm単装速射砲(Mk.45 mod.4 5インチ砲)、スラっとしたマスト、ヘリコプター運用能力のある後部甲板、間違い無くこの艦艇は日本国海上自衛隊の2代目イージス護衛艦の【あたご】である。
なんで、地球の更に日本の海上自衛隊の護衛艦がミストテリアスに来ているんだよ!
恐らく兵装が砲のみと認識しているルクレール王国の人達からしてみれば5インチ砲しか搭載していない【あたご】はえらく貧弱な艦艇だと認識するだろう。
しかし【あたご】などの現代艦艇の主兵装は甲板上に埋め込まれているマス目の板と煙突の間に付けられている8本の筒の中に入っているのだよ。
「海上自衛隊とは恐らく古代文明の1国家だと推定される日本国の海軍の呼び方だと推定され、その国家の実験艦として建造されたと考えられています。DDGがどう言う意味かは未だに判明しませんが、恐らく177番目に建造された軍艦だと推定されています。その後、この艦艇は運用不可な艦艇と判断、今から8年前にルクレール王国海軍魔導戦艦【トラス】の連装30cm魔導砲4基の標的艦とし処分されましたが、その際かなり装甲が厚く3斉射目でやっと沈んだそうです。この事から【あたご】は装甲を重視した実験艦だと推定されています。その後日本国の艦艇は出てきておらずこの【あたご】が現存していた唯一の艦艇と考えられています。」
なんか今、すごい事聞いたぞ。
被弾する事を考慮に入れてない、防御力最弱艦が連装30cm魔導砲を3斉射目で沈んだ!?
現代艦艇なんか、日本のミサイル巡洋艦を除いてクッソ防御力弱いんだよ?
どんだけ魔導砲が弱いんだよ、ってかその程度の争いをしている艦艇なら127mm砲を撃ったら穴空きまくるんじゃね?
とりあえず残りの授業終わったらシルフィに聞いてみるか。
ちなみに今、シルフィは光の球となって俺の中で休んでいる、そうする事が一番俺の魔力を摂取せずに居られるらしい。
俺的には魔力回復が1分300あるらしいから問題無いと思うんだけどな。




