表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/57

第19話 学長先生



「用事って何だろう?」


「分かりませんわ。学長先生が私とレイン様をわざわざお呼びになるなんて。」


 入学三日目、僕とエルナ王女は学長からの個人的な呼び出しで、話しながら廊下と言うには広すぎる場所を歩いていた。

 その学園の作りは正にお城であり学長室は城の最上階、いわゆる天守閣にあった。


「そんなに凄い人なの?学長先生って。」


「ええ、その美貌から落とさない男は居ないと言われるほどで魔法に関しては大賢者と言われ王家がアルファス家に手出し出来ない原因の1つと言われています。」


「僕?」


「まぁ、直接ご本人に会えるなら会って話を聞いた方がよろしいかと。」


 なんか僕の家に関係ある人だけど、多分王家がアルファス家に手出し出来ないもう一つの原因が精霊の加護だろう。

 そしてそうこう話していると学長室の前までたどり着いた。


コンコン、


「あら、来たのね。どうぞ入って。」


 なんか声だけで美人だと分かるが、僕とエルナは木の重厚感ある扉を押し部屋へと入った。


「いらっしゃい。よく来たわね。」


 部屋は大きな窓が特徴のいかにも魔法学校のといった感じの部屋であった。

 そしてその広い部屋の端にソファーに、長い銀髪が特徴の背の高い女性が堂々と座っていたのである。


「初めまして、アルファス家次男レイン•アルファスです。」


「ルクレール王国王女、エルナ•レア•ルクレールです。初めまして。」


「ふふふ、初めまして。私の名前はリレス•リフェルティア。この学園の学長をしてるわ。よろしくね。エルナ王女様はここでは身分を隠しているのね。知っているのは私と貴方達の担任、そして寮の管理人の三人だけよ。本来なら主人の息子に対してしっかりと礼儀を尽くさなければならない所だけど私も学長という立場があるの。だからごめんなさいね。」


 そりゃそうだろう、仕えている人の息子が自分が教えている学校の生徒である、ややこしい事この上ない。

 国立リフェルティア学園は国立と付いているが国からの干渉も弾けるほどに力を持っている生徒数約3000人の名実や歴史•功績とともに世界最大の学園であるのだ。


「あの〜学長先生とアルファス家の繋がりが全く分からないんですが、」


「あら?お父様から何も聞いていないの?」


「はい、全く。」


「はぁ〜、ちゃんと説明くらいして欲しいもんだわ。ごめんなさいね。私はアルファス家の直属の魔術師なの。つまり貴方のお父様の家臣という所かしらね?」


 お父さん、これくらいキチンと説明して欲しいものだ。

 しかしアルファス家、マジでヤバイな、ますます大精霊と契約した事言えなくなったな。


「そ、そうだったんですか、確かにそれだと今の立場は複雑ですね。」


「まぁ、そうね。とりあえず座って、お茶でも飲みながら話しましょう。エルナ王女も。」


「はい!」


 エルナ王女が元気よく返事をすると学長先生に言われるがままソファーに座った。

 僕だけ立っている訳にもいかずにエルナの隣に座った。

 そして、学長先生が逆のソファーに座り指をパチンと鳴らすと何処からともなくティーセットが現れ誰もいないのに勝手にお茶をいれ始めたのである。


「ふふふ、しかしまさか私が作ったあの筆記試験問題を満点で合格するなんて、レイン君が居なかったら間違いなくエルナ王女が首席入学だったわね。」


「はい、そうですね、でも今の私の目標はレイン様を超える事ですから。」


「あらあら、レイン様?ふ〜ん、なるほど。まぁいいわ。しかしまさか大精霊と契約する人が現れるとはね。」


「「!?」」


 俺が大精霊と契約している事を知っているエルナ王女もビクッと驚き一瞬、そのオッドアイと目が合った。


「貴方のお父様に聞いたのよ。俺の息子が大精霊と契約したんだ!しかも2体だぞ。俺の精霊が教えてくれたんだ!って言ってきたのよ。私も見せてくれない?その契約した大精霊を。」


「………分かりました。他言無用でお願いしますよ?」


 言っちゃったか、じゃあ俺が中位精霊ってシルフィの事紹介している時、お父さん、気が気じゃなかっただろうな。


「仕えているご主人様を裏切る事はしないわ。」


「シルフィ。」


 そう言い、僕の隣に居るシルフィに可視化するように頼んだ。

 頼んだと書いているが契約している為、実質的な命令である。

 もちろん精霊が拒否する事も出来るが、その場合は関係としてズタボロである。


『ごめんね、レイン。どうにもあの子は口が軽くって、今度会ったらお仕置きが必要ね。火の大精霊に伝えておく?』


「いやいや、それは流石に可愛そうだからやめてあげて。」


 精霊のお仕置きって怖すぎるんだよな。

 もしやるにしても精霊界でやってね?こっち(下界)に影響を与えないでね?


『あら、そう。初めまして、貴方がここの学長さん?私の名前はシルフィ、レインと契約している風の大精霊よ。』


 サラッとシルフィが威圧を使ったが、流石学長先生、威圧に対する備えがあるのか、殆ど動じてない。

 しかしシルフィもかなり加減した威圧だった為、力を入れたら、間違いなく耐えられないであろう。


「まさか、風の大精霊と契約しているとは、驚きだわ。」


『あら、大精霊様はやめて欲しいわね。シルフィでいいわよ。』


「相変わらず、レイン様の契約精霊は自由ですね。私も早く精霊と契約したいですわ。」


 二日前と昨日の夜寝る前にシルフィ達と話した為かすっかり慣れたエルナだったが、契約したいならシルフィ達に言えば契約してくれる精霊を連れてくると思うが、それは嫌みたいだ。


「あの〜、さっきからずっと気になっていたんですが、アレってなんですか?」


 話を変えねばと思い僕が指差したのは直径20cmほどの球体である。

 しかし球体の中が虹色でうねうねと動いているのである。


「あぁ、あれは魔力回復測定器よ。」


「魔力回復測定器、なんですのその魔道具は?」


「古代文明の遺産、アーティファクトなんだけどね、魔力は使ったら回復するでしょ?大体全ての魔力を回復させるのに約100分ほどかかるのよ。この魔道具は1分あたりの回復量を教えてくれる魔道具なの。使ってみる?」


 アーティファクトは古代文明の遺跡(都市か研究所)から発掘されるが、大体は5000年の月日により動かないが、稀に時空遅延魔法によりこういった稼動状態の魔道具が見つかる事もあるのだ。

 魔力が全て無くなると人は死ぬ為、全て無くなる事は無いが、100分は1時間と40分、つまり大体2時間である。

 魔力回復ポーションを飲めば100などの単位で回復するが、大体1時間ほど待てば回復する。

 その回復量には魔力量が多い人ほど時間あたりの回復量は当然多いのである。


「はい、使ってみます。」


「そう、ならまず私がお手本を見せるわね、私のレベルは76、魔力量は3500で世界一多いわ。」


 魔力量2000で宮廷魔術師という世界で魔力量3500は別次元レベルの多さであった。

 そして学長は話しながら魔道具に手を置いた。

 すると魔道具がほんの少し光り、下の台から何やら紙が出てきた。


「え〜と、私の1分あたりの回復量は41ね。つまり約85分で私の魔力量は完全回復するわ。」


「なるほど、流石凄いです学長先生。」


「ふふふ、ありがとう。エルナ王女もやってみたらどう?」


「は、はい。やってみます。私のレベルは18、魔力量は1070です。」


「あら、レベル18で魔力量1070なら将来宮廷魔術師クラスね。」


 レベルが上がる事により魔力量は増える為、普通は大体レベル20の時の魔力量を基準にするとレベル30は20の1.5倍、レベル40は20の2倍である。


「あ、ありがとうございます。」


 そう話しているうちに計測が終了して、紙が出てきた。


「え〜と、私の1分あたりの回復量は14、つまり単純計算で78分で私の魔力は完全回復しますわね。さて、次はレイン様ですよ。」


「う、うん。分かっているよ。僕のレベルは19、魔力量は2400です。」


「に、2400!?レベル19で?不味いわね、私もうかうかしてられないわ。」


「レイン様は凄いのですから当然です。さぁ、どうぞ。」


 学長先生が呆然としている中、エルナの説明になってない説明で球体に手を置く。

 学長先生やエルナの時みたいに少し光り、やがて光が消えると紙が出てきた。


「見せてください。レイン様。」


「う、うん。えっと貴方の魔力回復量は1分あたり300です。…………………え!?300!?」


「う、嘘でしょ?1分あたり300って事はレイン様の魔力量は2400ですから僅か8分で完全回復しますわ。流石私のレイン様ですわ。ポーション要らずですわね!」


 私の?なんだかエルナの言葉に違和感を覚えたが、この際無視する事にした。


「ちょっと魔道具の誤作動だと思いたいけど、大精霊と契約して、レベル19にして2400もの魔力量を持つ。信じるしかないわね。はぁ〜。この事は他言無用よレイン。まぁ、貴方には大精霊達が付いているから大丈夫でしょう。


『当たり前ね、全ての眷属を使ってでも見つけ出して叩き潰すわ。』


 地味に怖い事をサラッと言うシルフィ、僕の事を思ってくれるのはありがたいが大精霊に狙われた人は可愛そうだと思う。

 自業自得だけど。


「ははは、ありがとうシルフィ。とりあえず学長先生、9年間よろしくお願いします。」


「え、ええ。先行きが不安だけど、なんとか頑張ってみるわ。多分大丈夫でしょう。」


 この日から学長先生は会う度にレベルが上がっていき、魔力量も増えていったのであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ