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市場へいきました

市場は市街地の中心にあった。

丸い広場にいろいろな店が軒を連ね、買い物客で賑わっている。


「わぁ!クレイグ様、いろんなお店がありますね♪」


「楽しいのはいいが、そんなにキョロキョロしているとはぐれるぞ。」


「あ、待ってくださいよー!」


周りのお店は気になるが、立ち止まるとクレイグ様に置いて行かれてしまうのでついていく。

こんな人混みでもレティは上手に私の足の間をくねくねと歩いてついてきた。

通りすがりに店の商品を覗き込むと、見知った食べ物の中に今まで見たこともない毒々しい色の果物?があったり、店先に角の生えた豚の顔がかけられていたり興味が惹かれるものばかりだ。


「ああ、ここだな」


「うぶっ!」


よそ見をしながら歩いていたので、急に立ち止まったクレイグ様の大きな背中に思いっきりぶつかってしまった。

私の変な声にレティも首を傾げている。

私達が立っていたのは、市場の中心にある大きな八百屋の前だった。


「いつもレティの食事用の野菜は、ユードラがここで買ってきていると言っていた。

一番大きな店だし品揃えもいい。

慣れるまではここで買うといいだろう」


「そうなんですね!

ユードラさんおすすめのお店なら安心です♪」


「ウォン!ウォン!」


食べ物の匂いに大興奮なレティも一緒に店内に入っていく。

レティ用の野菜を買い足すついでに私のぶんもいくつか見繕ろう。

見慣れない食べ物は今回はやめて、普段から使ったことのある食べ物を選ぶことにした。

あまりこういうところに来たことがないのか、クレイグ様も物珍しそうに店内を観察している。

会計を済ませて店の外に出ると、今度は来た道とは違う方へ歩き出したクレイグ様。


「次は肉を買いに行こう。

店はユードラおすすめだから安心していい。」


次の店は市場の端のほうにあった。 

店先には商品名と値段の看板だけが掲げられている。

牛や豚に混じって、知らない生き物の名前もかかれている。


「欲しい商品とグラム数を伝えれば、切り分けてわたしてくれる。」


「わかりました。

えーっと、鶏を100と豚を50ください。」


注文をすると、切り分けた肉を何かの植物の葉に包んで渡してくれた。 

その葉っぱの力なのが、何か魔法がかかっているのか、手に取った肉は凍っているかのように冷たかった。 


「買った肉や魚はどうやって保存すればいいですか?」


「買ったときに冷却の魔法がかけられているから、そのままで2〜3日は持つぞ。」


「すごい!冷蔵庫いらずですね!」

 

「レイゾウコ?」


「す、すいません!

前の世界の話です...」


「繚の世界では、こことは違うものがいろいろあったんだろうな。

またいつかカガク?の話を聞かせてくれ」

 

「はい、喜んで♪」

 

私が魔法に驚くように、冷蔵庫やテレビの話をしたらきっとクレイグ様もびっくりしてくれるだろう。

また時間があるときにゆっくり話をしてあげよう♪


その後も魚屋さんや調味料屋さんを案内してもらい、必要なものを購入した。

気づけば私の両手は買った食べ物でいっぱいになっていた。

足元にいるレティが見えないので、踏まないように気をつけなくては....

次来るときは、なにかバスケットを持ってこよう。

荷物を落とさないようにフラフラしていると、私の腕のなかの物達はクレイグ様によってすべて持って行かれてしまった。  


「あ!駄目ですよ!

ご主人様に荷物を持たせるなんて!」


「そんなことは気にしなくていい。

それに、このまま歩き続けたら家に帰るまでに日が暮れるからな。」


そういうと、市場の出口へ向かっていった。

申し訳ない気持ちもあったが、ここはお言葉に甘えて素直に横をついていくことにした。

市場を出ると、行きに通ってきた道にすぐ出た。

これなら、迷わずにここまで来れそうだ。


「レティ、もし迷ったときのためにあなたも道を覚えておいてね」


「ウォン♪」


任せておけと言うように元気に返事をしてくれたので、何かあったときは大丈夫だろう。

家までの帰り道、私の他の仕事についてクレイグ様に聞いてみた。


「クレイグ様。

今日の午前中レティと二人で過ごして思ったのですが、私に他にも仕事をくださいませんか?」


「??

他のことは気にしなくてもいい。

レティの世話で大変だっただろう?」


「それが...レティがとてもいい子で暇を持て余しちゃうんです...」


「な!!

まあ、たしかにさっきから様子を見ていても、レティが暴れる様子がまったくないな。

俺のときは餌をやるのも一苦労だったんだが....」


過去を振り返っているのか遠い目をしているクレイグ様。

レティ、君は一体どんなことをしでかしていたんだい?

私達のやり取りを知ってか知らずかレティは気にせず尻尾を振りながら私の横を歩いている。


「なので、他にもお仕事がいただきたいんです!」


「うーん、わかった。

すぐには何か思いつかないが、繚にできそうなものがあれば頼むことにする」


「ありがとうございます!

力仕事でも何でもできるので、任せてください!」    


「ウー、ウォン♪」


意気込む私をクレイグ様はまた、眉間のシワを緩めてみていた。

とりあえず、明日またユードラさんに何か仕事がないか聞いてみよう!

あと、引き続き家の中で仕事を探すぞ♪

目標ができて更にやる気が出てきた!

自分でもよくわからないが何かに燃えている私を見て、レティも一緒に気合を入れるのだった。


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