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おでかけしました

クレイグ様が帰ってくるまで、家の中を散策しながら仕事を探してみた。

だけど、掃除はユードラさんが塵ひとつなく綺麗にしてるし、洗濯物などの汚れ物はなぜか見当たらない。

どこにも私の仕事は落ちてなかった....


「今、帰った。

レティと一緒に部屋にいるのか?」


しょうがないから、部屋に戻ってレティの横でゴロゴロしてると部屋の外から声をかけられた。

どうやら、クレイグ様が帰ってきたらしい!

慌てて飛び起き、部屋の扉を開けて出迎える。


「クレイグ様、おかえりなさい!

気づかなくてすみませんでした↓」


「それは構わないが、今から一緒に外へ行くから準備をしてくれ」


「一緒にですか?」


「ああ、街を案内するついでに、繚の服とか必要なものを買いに行く。

その服だけでは、不便だろう?」


「そんな!

私、買うお金もないですし、メイド服があれば大丈夫です!」


「金のことなら気にするな。

それに、メイド服だけでは出入りできないところも多いからな。

さ、すぐにでも出かけるぞ」 


私の提案はスルーされて、さっさと部屋を出ていってしまった。

とりあえず準備と言っても何もないので、寝てるレティを抱き上げ部屋を出た。

そういえば、レティはリードとかいらないのかな?

急いで廊下を走りクレイグ様の後をついていくと、もう玄関の前で待っていた。


「あの、レティはどうやって連れていけば?」


「そのままで大丈夫だ。

レティは懐いた人から基本は離れないからな。

足元に下ろせばついてきてくれるだろう」


言われたとおりに足元におろすと、私の足の横にぴったりくっついてきた。 

試しにくるっと回ってみたら上手についてくる。

これなら大丈夫そう♪


「では、いくぞ。

そんなに遠くないから徒歩で行こう。」

 



歩き始めて10分ほどすると市街地にでた。

脚の長いクレイグ様と並んで歩くことは難しく、私は一歩後ろを小走りでついていくのが精一杯ですでにヘロヘロだ。


「まずは市場へ案内しよう。

買い出しでくることも増えるだろうしな」


「はぁはぁ....は、はい!」


「おい、大丈夫か!?」


「クゥーン」


そこではじめて後ろを振り返ったクレイグ様が私の様子に目を丸くした。

まさか、後ろを歩くメイドがこんなグロッキーになってるとは思わなかったのだろう。

レティも心配そうに私を見上げている。

もうしわけなさそうに、私を見つめると何を思ったか膝に手を差し入れふわりと抱き上げた。

何が起きてるかわからなかったが、どうやらこれが人生初めてのお姫様抱っこのようだ。


「わ、わわわぁ!ちょ、ちょっと降ろしてください!

自分で歩けますー!!」


「無理をさせた詫びだ。

市場は後回しにして、先に服屋にいくぞ。」


「いやー!恥ずかしいですぅー////」


「ウォン!ウォン!」


クレイグ様はジタバタする私の抵抗なんてなんともないようにスタスタ歩きはじめた。

レティも私を心配してか吠えながらついてくる。

この羞恥プレイのまま洋服店まで入店、店の中でやっと私は開放された。

ここまでの道のりは恥ずかしすぎて顔を庇っていたので全く覚えてない。


「おやおや、いらっしゃいませ。

シルヴァ様が女性を連れてくるとは珍しいこともありますな」


「まあ、そんなことより、彼女の生活に必要な衣類を適当にいくつかいただきたい。」


「かしこまりました。

では、採寸いたしますので奥にお願いします。」


「ウォン!」


「おっと、いくらレシティアントでも女性の採寸にはついてきてはいけませんぞ」


「クゥーン....」


店の奥から出てきた初老の男性店員と話し始めたクレイグ様。

恥ずかしさのあまり放心状態だった私を置いて話はまとまったようで、奥の部屋へと連行された。

着いてきたそうにしていたレティだが、男性の話を聞いて渋々クレイグ様の足元で待っていることにしたようだ。



連れて行かれたのは試着室のような部屋で、中には二人の女性が待っていた。


「この方の採寸を頼む。」


「かしこまりましたー!」


「ふぇ?え、なに!?」


何が何やらわからぬままにパンツ一枚にされ、胸やお腹お尻とスリーサイズを計られていく。


「よし、これで結構です!

在庫を確認して用意しますので、しばし店内でお待ちくださいー」


また、あっという間に服を着せられたかと思うと、クレイグ様の待つところへと戻された。

私が戻ってくると、レティが足にすり寄ってくる。


「ただ今戻りましたー」


「早かったな。」


「もう、何が何だったのかわからなかったです...」


私の疲れきった顔を見て、笑ったつもりなのかクレイグ様の深い眉間のシワが緩んだ。

やっと一息ついたので改めて店内を見回す。

落ち着いた雰囲気のお店で老舗という感じだった。

飾られている服やアクセサリーを見る限り、庶民が来るようなお店ではない。


「あのー、クレイグ様。

つかぬ事をお聞きしますが、ここってもしかしてお高いんじゃないですか?」


「?そんなことはないと思うが、何よりも私はここしか服屋を知らないんだ。

昔からここで、オーダーして作ってもらってる」


「オーダーメイド!?

それ、絶対高いお店ですよ!

わ、私のはもっと安いもので、古着でもいいので!」


「もう頼んでしまったのだから諦めろ」


「そ、そんなー」


そんなやり取りをしていると奥からいくつかの紙袋を持った店員が戻ってきた。 


「おまたせしました。

こちらがお品物になります。」


「ああ、ありがとう。」


クレイグ様は、そのまま伝票に何やらサインをして紙袋を受け取った。

私がそれをただ見つめていると、後ろから誰かに肩を叩かれた。

振り向くと先程採寸をしてくれた女性が立っていて、私に耳打ちをしてきた。


「いくつか旦那様が喜びそうなものも入れておきましたからね♪」


そう言って意味有りげにウィンクをされたが、なんのことやらさっぱりわからない。

私が頭にはてなをうかべてると、出口からクレイグ様に呼ばれた。


「さ、次へ行くぞ。」


「はい!今行きます!」


「ありがとうございました。

またのお越しをお待ちしております。」


「こちらこそ、ありがとうございました!!」


「ウォン♪」


こちらへお辞儀をしてくれている店員さんたちに、私も同じようにお辞儀を返す。

レティも真似して頭を下げてみせた。

そんな姿が珍しいのか驚いたあと、笑いながらまたお辞儀をしてくれた。


「おませしました!

行きましょう☆」


「では、今度こそ市場へいくぞ」


「はい♪」


さっきとは違い、クレイグ様が私の速度に合わせて歩いてくれるので今度は横について歩くことができた。

市場はどんなものが売ってるんだろう。

私の心はウキウキ踊りだした。

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