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一日が始まりました

ペロペロペロ....


「うーん....」


「ウォン!ウォン!」


目を開けると視界いっぱいに広がる鼻ぺちゃな顔。 

.....なんだかこの光景、昨日も見たな。

寝起きでぼーっとしてる私の顔を絶えず舐め続けている。

舐められてる感覚と独特の獣臭でだんだん頭の中も起きてきた。


「うーん、わかった。

起きるから舐めるのストップー」


「ウォン♪」


ゆっくりと体を起き上がらせて、あたりを見回す。

横には鼻ぺちゃで金色の生き物と、とても豪華な広い部屋。


「.....夢じゃなかったかー

おはよう、レティ」


昨日のことは全部夢だったのでは?と考えてもみたが、この様子だとすべて現実だったみたい。

まだ信じられない気持ちもあるけど、少しワクワクしている自分がいるのも事実。

今日からはこの魔法の国での生活が始まるんだ!


「.....クゥーン」


「ん?レティどうしたの?」


私の思考を遮るように、シャツの裾を加えてレティが何か訴えている。

耳をたれさせて、よだれを垂らしているところを見るとお腹が空いたのかな?

そうだ、私の仕事はレティのお世話なんだからご飯をあげなくちゃ!


「待たせてごめんね↓

すぐに着替えるから待ってて!」


「ウォン!」


ベッドから降りて、昨日着ていた服を身につける。

まず、レティって何を食べるんだろう?

ドッグフードとかは食べなさそうだし、生肉?

うーん、考えてもわからないからクレイグ様に聞いてみよう。

レティと一緒に部屋を出てとりあえずキッチンへ向かった。


「おはようございます、クレイグ様」


「あぁ、おはよう。

昨日はよく眠れたか?」


キッチンでは、昨日のラフな格好ではなく魔剣士の団服に身を包んだクレイグ様がコーヒー片手に新聞を読んでいた。

昨日の格好もよかったが、団服姿のほうが体格のいい彼には似合っている。


「はい、レティと一緒に気持ちよく寝かせていただきました!

あの、レティがお腹を好かせているようなんですが何を食べさせてあげればいいですか?」


「そうだったな、レティの世話についてちゃんと教えていなかった。

レティはこう見えて草食なんだ。」


「えー!生肉とか食べるのかと思ってました....」


「人間とは違って、魔力を養うためには肉や魚などの命があるものは食べられないのだろう。 

そのかわり、野菜だったらなんでもたべる。

キッチンにレティ用の野菜があるから小さく刻んで与えてやってくれ」


「はい、わかりました!」


キッチンの一角には見慣れた野菜がかごに入って置かれていた。

トマト、人参、キャベツ、じゃがいも....食材が見知ったものだったことに安心した。

これなら、私でも料理できそう!


「ウォン!ウォン!」


急かすように私の足元をレティがくるくる回っている。

いくつか野菜を選んで調理台に置き、まな板と包丁を探す。

両方ともすぐに見つかったので野菜を刻んだが、レティの器はどれだろう?


「あの、レティのお皿はありますか?」


「そこの足元にあるものを使ってくれ」


足元を見てみると、明らかにペットの食事に使うようではない豪華な皿が置かれていた。

....本当、感覚が全然違う。

言われたとおり、そのさらに野菜を乗せるとレティが一目散に食べに来た。


「あ、マテ!レティ、マテだよ」


「ク、クゥーン」


私の言葉を聞いて、食べるのを止めておすわりをするレティ。

早く食べたいのか耳も尻尾も垂れ下がっている。


「....ヨシ!」


「ウォン!」


「レティ、待てて偉いねー♪

美味しいー??」


「ウォン、ウォン!」

 

ゴーサインを出すと、すごい勢いで食べ始めた。

食べるレティを褒めていると、クレイグ様も近づいてきて私の隣にしゃがみこんだ。


「驚いたな。レティがこんなに言うことを聞くなんて。」


「?

クレイグ様がしつけたんじゃないんですか?」


「いや、私の言うことは何も聞かない。

散歩中はいなくなるし、風呂には入らない。

食事も早くよこせと噛み付いてくる。

そのくせ、私以外では近づくこともできない。

ここ数ケ月は本当に大変だったんだ。」


クレイグ様が言っているのは本当にレティのこと?

昨日から私の言ってることをちゃんと理解して、とていい子だけどなー

たしかに、クレイグ様が食べてるレティを撫でようとするとウゥーと唸っている。


「この様子だと、繚とレティなら仲良くやれそうだな。

私は仕事に行くが、昼過ぎには帰ってくる。

それまでは、レティとこの家で過ごしてくれ。

あとで本家からくるメイドに、今日の分の食事は持ってくるように頼んであるから食べなさい。

それと、君のことはレティ専属のメイドを雇ったと伝えてある。

本当のことを言っても混乱するだけだからな。 

だから、服はこのメイド服を使ってくれ。」


そう矢継ぎ早に説明すると、私の手にメイド服を渡してくれた。

後でくるメイドさんがどんな人なのか、ちょっと緊張するなー。


「では、私は行ってくる」


「はい、行ってらっしゃいませ!」


腰に剣をつけ、マントを羽織るとクレイグ様は颯爽と仕事へ出かけて行った。


「さ、レティ。何しようか?」


「ウォン♪」


足元を見ると食事を終えたレティが期待するような眼差しで、尻尾を思いっきり振っていた。


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