表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/17

日本について話しました

クレイグが入れてくれた紅茶は、さっき彼が言っていたようにとても美味しかった。

美味しい紅茶で私の心も少し落ち着いてきた。

向かいに座るクレイグをこっそり観察してみる。

2m近くありそうな背丈に、剣士というだけあってガタイもいい。

紅い髪は短く刈り込まれ、眉間には常にシワが寄っている。

相手を威嚇するような鋭い目にきりりと結ばれた口元、表情は乏しいが整った顔をしている。

袖のゆったりとした白いシャツにブラウンのパンツ、足元は黒いブーツとシンプルな服は仕事が休みだったためだろうか?

とりあえずここは元いた世界とは全く別の世界で、ここで生きていくには彼に頼る以外方法がない。

どう説明すれば彼が納得してくれるのか、私は頭をフル回転して考えた。


「さっきよりだいぶ顔色も良くなってきたな。

どうだ、話はできそうか?」


紅茶飲んで一息ついたクレイグが、私の表情を伺いながら声をかけてきた。


「えっと、たぶん信じてもらえないこともたくさんあると思うんですけど.....一つずつ話しますね」


「ああ、ゆっくりでいいぞ」


「私がいた国は、地球という惑星の日本て言うところです。

こことは違って、魔法はなく科学が発展したところでした」

 

「かがく?....聞いたことないな」


私の話は彼にとってわけがわからないもののようで、眉間のシワがさらに深くなっている。

それでも少しずつ頭を整理しながら話を続ける。


「私はそこで会社員として働いていたんですけど、家に帰って寝たと思ったらいつの間にかここにいたんです。

それに、クルノイアという国名も今まで聞いたことがないし、私のいたところでは魔法は存在しない架空のものでした。

きっと、信じてもらえないと思うけど私違う世界から来たんだと思います....」


いろいろ言い訳も考えてみたが、信頼されるためにも真実を伝えたほうがいいと思いすべてをありのまま話した。

クレイグは私の話をありえないと笑い飛ばすこともなく、真剣な顔で聞いてくれた。

そして、考え込むようにしばらく無言になった。

不安な気持ちで私が彼を見つめていると、私の視線に気づいたのか目を見つめ返し口を開いた。


「違う世界からきたなんて信じろという方が難しい話だが、君の瞳を見ると嘘はついてないと思う。

なにより、レティがそこまでなつくのだから危険ではないということだからな。

私は君を信じよう」


そう言うと、眉間の力を抜き僅かに表情を緩めてくれた。

彼なりに微笑んでくれたつもりなのかな?


「よ、よかったー」


「ウォン♪」


信じてくれた喜びとともにそれまでの緊張がとけ、体の力が抜けた私は机につっぷした。

足の間ではレティが嬉しそうにこちらを見上げている。

そのきれいなエメラルドグリーンの瞳に吸い込まれていきそうだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ