距離が近づきました
「そろそろクレイグ様起きてくるかなー??
レティ、火をお願いできる?」
「ウォン!」
私の早起きに付き合ってくれるようになったレティにコンロの火を頼む。
この間のお休みの日、私のご飯を初めて食べてくれたときから、クレイグ様は朝夕は自宅で食事をしてくれるようになった。
仕事によりけりで時間はまちまちだが、外で食べずに帰宅してくれる。
ユードラさんに教えてもらった大好物はもちろん、私が前の世界で作っていた料理も美味しそうに食べてくれるので、作っていてとても気持ちがいい。
今日の朝食はフレンチトースト!
甘いものが好きなクレイグ様のために、お手製のバニラアイスも添えてあげよう♪
ルンルンしながら卵液につけたパンをフライパンで焼いていると、後ろから声が聞こえた。
「おはよう、繚。今日もいい匂いだな」
「クレイグ様!おはようございます♪
今日はフレンチトーストにしてみました!」
「初めて食べる料理だな。
楽しみだ。」
食卓に腰を下ろしたのを見計らって、早速焼き上がったばかりのフレンチトーストを盛り付けて運ぶ。
熱々のパンに冷たいアイスが溶けて行く様子がたまらない。
クレイグ様のために作ったが、私も食べたくなってくる。
「お好みで、メイプルシロップやイチゴジャムをつけてくださいね♪」
「わかった。
まずは、このままいただこう」
そういうと、一枚分を切りわけずにパクッと口に入れた。
結構大きめに切ってたと思ったけど、クレイグ様が食べると小さく見える。
一枚目を食べ終えると次はメイプルシロップをかけて、その次はジャムをつけて、たくさんあったフレンチトーストはすぐに彼のお腹の中におさまっていった。
「このメニュー、とても気に入った。
また作ってくれ。それと、もう少しもらえるか?」
「はい、そうおっしゃると思って焼いておきました♪」
「ありがとう。
繚もこっちに来て一緒に食べよう」
「はい!一緒に失礼します!」
クレイグ様は寛大で使用人の私も一緒に食事をすることを許してくれる。
食べながら私の話すたわいない話を頷きながら聞いてくれる。
最初は無口で無愛想な印象だったが、よく見ていると微妙な表情の変化で感情も読み取れるようになってきた。
特に食べているときはわかりやすくて、好みの食べ物を食べてるときは表情が明るく、苦手な野菜は眉間のシワをこれでもかと寄せて丁寧に皿の隅へ選り分ける。
そんな子どものような姿になんだか親近感が湧いてくる。
「今日のディナーはどうされますか?」
「今日は急な事件がなければ、午前中で帰宅する予定だ。」
「では、ランチも用意しておきますね♪」
「ああ、頼む。それと、買い出しに私もついて行こう。
最近は、私も食事をするようになったから荷物が多くて重いだろう。」
「そんなお気になさらなくても!」
「いいんだ。
ランチ後に行くぞ」
「わ、わかりました!」
「では、ランチ楽しみにしてるぞ」
食後のコーヒーを飲み終えたクレイグ様を玄関までお見送りする。
大事な剣とマントを手渡すと、さっと身につけて振り返り私の頭に大きな手を乗せ頭を撫でる。
「では、行ってくる。」
「もう!私はこどもじゃないですよー!
いってらっしゃいませ///」
嫌がる私を見て表情を緩めるとクレイグ様は仕事に出かけていった。
私が小さいから子どものように見えるのか、最近のクレイグ様はなにかと私の頭を撫でてくる。
これでも160はあるんだけどなー。
子ども扱いされてるようでちょっと恥ずかしいけど、嫌ではない私もいる。
クレイグ様の大きな手に撫でられると安心するんだよね...遠い昔を思い出すからなのかな...
「ウォン!!」
ぼーっと立ち尽くしていると、足元からレティに呼ばれた。
そうだ、レティのご飯まだだった!
「ごめんね!今、特性フルーツもりもりご飯作ってあげるからね!」
「ウー、ウォン♪」
私の言葉に尻尾を振りながら先に立ってキッチンへ戻っていくレティ。
私も遅れながら彼の後ろ姿を追ってキッチンへ向かった。




