仕事見つけました
「朝から元気ねー!」
私とレティが庭を駆け回っていると、デッキの方からユードラさんが声をかけてきた。
「おはようございます、ユードラさん♪」
「ウォン♪」
「ふふっ、二人ともおはよう」
そばまで走っていくと、笑いながら挨拶をしてくれる。
ふと手元を見ると、ユードラさんは大きな袋を抱えていた。
あんなに大きな袋、何がはいっているのだろう?
私の視線に気づいたのかユードラさんが教えてくれた。
「これが気になるの?
今日は食べ物じゃないわ笑
これは、ぼっちゃまの乾いた服よ」
「乾いた服?」
「そう。
前日の汚れ物を持って帰って洗濯して、次の日に乾いた分を持ってきているの」
「毎日、洗濯物を本家に持ち帰ってるんですか?
クレイグ様の服って、大きいしかさばって重そうなのに....」
「たしかにそうね...
でも、私は風の魔法が使えないから、ここで洗うと干して帰らないと行けないでしょ?
ぼっちゃまに洗濯物を取り込んでもらうわけには行かないし、持ち帰るしかないのよ」
そう言ってユードラさんは困ったように笑った。
普段着ならまだしも剣士団の団服とかはとっても重いだろうから、身体が小さく年配の彼女にはかなりの重労働だ。
なんとかならないかな.....あ!いいこと思いついた!
「あの!洗濯、私がしてもいいですか?」
「え...?」
「これからは私の洗濯物も増えるわけですし、ユードラさんばかりに任せるわけにはいきません!
なので、私がこのお屋敷で洗濯をして干して取り込めば持ち帰る必要もなくなりますよ♪」
「そう言ってもらえるのはありがたいけど、あなたはレティ専属のメイドさんでしょ?」
急な提案に困惑気味のユードラさんを納得させるべく、更に私は畳み掛ける。
「いいんです!私、いま仕事募集中だったので♪
クレイグ様も家の中なら仕事を見つけてもいいって言ってましたし」
「そうね....ぼっちゃまがお許しになるならお願いしようかしら?」
「はい!喜んで♡」
歯切れはあまりよくなかったが、なんとか洗濯の仕事をゲットすることができた!
ただ、問題はこの世界には洗濯機がないこと....洗濯ってどうやってすればいいんだろう???
「あの....洗濯をするといったものの、どうやるのか教えていただいてもよろしいですか?」
「あら!あなた、洗濯もわからないの??」
「あはは....前の家では洗濯の担当ではなかったんです...」
ユードラさんは私のことをメイドだと思っているので、洗濯ができないことに驚きを隠せない。
とりあえず、笑ってごまかし洗濯の仕方を教えてもらうことにする。
場所を庭に移し、ユードラさんの洗濯講座が始まった。
日当たりの良い暖かい場所だったので、レティは私達のことなんて気にせず日向ぼっこをすることに決めたようだ。
「まずは、この桶にぬるま湯を作るのよ」
庭には大きめの桶とテレビでしか見たことのない洗濯板、石鹸が準備された。
ユードラさんは私に説明しながら、何かを唱えると桶の中にほのかに湯気の立つぬるま湯を作り出した。
「わあ!ユードラさんも魔法が使えるんですね!」
「?
この国の者なら、簡単な水と火魔法は誰でも使えるのよ。
生活するのに必要不可欠ですもの。」
ユードラさんにとっては、私の言葉が不思議でたまらないのだろう。
たしかに、この国ではその2つの魔法がないと何もできないものね。
「さ、あとはぬるま湯に汚れ物をつけて、汚れが気になるところは洗濯板で洗い落としていけばいいの。
結構な力作業になるから覚悟してね!」
「はい!がんばります!!」
石鹸をつけながら洗濯板でゴシゴシ洗い、新しい水をためてすすいでまた洗うを繰り返す。
ぜんぶ洗い終える頃には私はクタクタだった。
「お、終わったー!」
「ふふ、お疲れ様。
どう?大変だったでしょ?」
いたずらっぽく笑っているユードラさんはそんなに疲れた様子が見られない。
ずっとやっているから慣れてるのかな?
私もこれから頑張らなきゃ!
洗い終わった洗濯物は、よく絞って物干しに干していく。
「洗濯物を干してしまえばおしまいよ♪
あとは、乾いたら取り込んでちょうだいね。
どう?明日から一人でできるかしら?」
「慣れるまでは大変かもしれませんけど、レティに手伝ってもらいながらなんとか頑張ります!」
「んふふ、頑張ってね。
それに、ありがとう。
私も年だから、洗濯物が大変になってきてたの...あなたに変わってもらえて助かったわ」
「いえ、私の方こそ色々教えていただいてありがとうございます♪」
「あなたと、こうやって一緒に何かをすると娘ができたみたいで嬉しいわ」
「私もお母さんみたいで安心します。
これからも色々教えてくださいね」
「ええ、もちろんよ!」
二人で笑い合っていると、部屋の時計が11時の鐘をならしている音が聞こえてきた。
「大変!もうこんな時間だわ!
私は他のお仕事を終わらせて本家に戻るわね」
「はい。
私も残りを干しちゃいます!」
慌てて室内へかけていく後ろ姿を見送る。
あんなふうに言ってもらえると、本当にお母さんができたみたいで嬉しくなった。
「さ、レティ!
残りもどんどん干しちゃおう!」
レティは意気込む私を横目で見て、頑張れというように尻尾をパタンと動かし昼寝に戻っていった。




