料理してみました
たくさんの荷物とともに帰宅し、キッチンへ食材を運び込む。
食物庫に買ったものをしまっていると、先程買ったお肉たちはクレイグ様が言っていたようにまだ冷たいままだった。
魔法ってすごいなーと感心しながら作業を続けていると、クレイグ様の胸の紋章が光り誰かの声が聞こえてきた。
「シルヴァ隊長!ルドマンです。応答ください!」
「こちら、シルヴァ。
何があった?」
「国境近くの村で密入国者が暴れているとのことです!
勤務外のところ申し訳ありませんが、至急応援よろしくお願いします!」
「わかった。
すぐ向かう」
どうやら胸の紋章は通信機になっているらしく、剣士団の仲間からの呼び出しだったようだ。
「帰ってそうそう申し訳ないが、仕事に戻らなくてはならない。
調理道具は棚の中にあるから自由に使ってくれ!」
そういって、慌ただしくマントや剣を身につけるとあっという間に出かけてしまった。
ああやって急な呼び出しとかがあるから、まともにご飯食べられないんだろうな...
「クゥーン」
「あ、ごめんね!
レティもお腹空いたよね。
いまご飯作るから一緒に食べよう♪」
「ウォン!」
耳や尻尾を最大限に垂らしたレティが足元で切なく鳴いている。
さ、ささっとご飯作っちゃおう!
食物庫から必要な食材を取り出し、適度な大きさに切って下ごしらえ。
今日のメニューは豚肉とトマトの冷製パスタ♪
戸棚から大小それぞれの鍋を取り出す。
「えっと、水、水。
あれ?......蛇口どこ!?」
水を入れようと鍋をシンクに持ってきたのはいいが、蛇口がない。
水ってどこかの井戸に取りに行ったりするのかな?
「どうしょう....井戸の場所も知らないし....」
「ウォフ」
「わぁ!」
手に持っていた鍋が急に重くなったので、驚いて手元を見るとそこにはなみなみと水が入っていた。
そうか、昨日のお風呂のときクレイグ様もお湯を作ったっていってた。
この世界では水は魔法で作るものなんだ!
「この水、レティがつくってくれたんだね。
ありがとう♡」
これくらいなんてことないと言うように、レティは尻尾をひとふりして返事をした。
レティもお腹を空かせてるし、早く作っちゃおう!
もう一つの鍋に水を分けて、コンロに置く。
「レティ、火お願いね!」
「ウォーン!」
ボー!!
レティの遠吠えにあわせたコンロの火が上がり鍋の水がグツグツ煮え始める。
沸騰した水にパスタを入れて茹でてる間に、もう一方の鍋で豚シャブを作る。
ボールにオリーブオイルと塩、粗挽き胡椒、にんにくのすりおろし、バジルを入れて混ぜ合わせて、そこに茹でて氷水でしめたパスタと切ったトマトを入れてからめる。
お皿にパスタと豚しゃぶを盛って、余ったソースをかければ完成!
「久しぶりに料理したけど、なかなか良くできた!
さ、レティも一緒にごはんにしよう♪」
「ウォン!ウォン!」
ダイニングに移動して、食卓につく。
レティもフルーツたっぷり、特別メニューだ。
「いただきます☆」
私のいただきますにあわせて、レティも勢い良く食べ始めた。
久しぶりに思い切り料理ができて楽しかった♪
今までのキッチンと使い勝手が違うのにまだ慣れないけど、レティに手伝ってもらえればなんとかできそうだ!
「これからも料理のお手伝いよろしくね♡
一緒においしいごはん作ろう!」
「♪」
食べることに一生懸命だけど、しっかり尻尾を振って返事はしてくれた。
「いつか、クレイグ様にも食べてもらえるかなー。
そのためにも、ユードラさんにたくさんレシピ教えてもらおう!」
食べながら独り言をつぶやいていると、先に食べ終わったレティがこちらを見つめておかわりを催促していた。
「あ、ごめん、ごめん!
早く食べておかわりつくるからねー」
レティのおかわりを作るため、料理のことはあとにして残りのパスタを食べ終わることに意識を集中することにした。




