異世界に飛ばされました
ペロペロペロ.....
「うーん」
ペロペロペロ.....
「う、うぅ......え、な、何!?」
顔の周りを何かに舐められてる感覚となんとも言えない獣臭さで私、小鳥遊繚は目が覚めた。
目の前にはパグに似てるけど、毛色が輝く金色で瞳がエメラルドグリーンの見たことのない生き物が私をのぞき込んでいた。
「ぶふー!」
「ギャー!!!!!」
混乱する私に、なぜか機嫌の良さそうな謎生物が鼻水スプラッシュをぶちまけてくれたので叫んでしまったのはしょうがない。
おもわず飛び起きたけど、やっぱりご機嫌なこの生き物は私の顔を舐めることをやめようとしない。
「ちょ、ちょっとやめてよ!え?何この生物?
なんで私の部屋に勝手に入ってきてるの!?」
「ウォフ!」
体の上の生き物を抱き上げ周りを見渡してみると、見慣れた家具がない。
それどころか室内でもない。
「あれ...?ここ、どこ?」
そこはどこかの知らない路地裏だった。
見たことのない形の建物と建物の隙間、なんで私はこんなとこで寝てたの?
昨日は、仕事から帰ってそのままベッドに倒れ込んだはずなんだけど.....
〜昨夜〜
「....ただいまー
あぁー、疲れた.....」
「もう、本当に部長は人使いが荒いんだから!
しかも残業してもお金でないし....
こんなブラック企業いい加減やめてやる!」
帰宅したのは深夜2時。
大学出て働き始めて二年間、定時で上がれたことは一度もない。
大好きな料理にかかわる仕事だからと調理器具メーカーに就職したが、理想と現実はかけはなれていた。
料理のりの字も感じない仕事が山積みで、毎日毎日書類に追われて過ごす。
そんな日々が二年も続けば、こんな悪態もつきたくなるのはしかたない。
「はぁー、もうこんな仕事しなくてもいい世界に行きたいよー
あぁー、料理したいー!最近あったかいご飯食べてないなぁー」
スーツを脱ぐのも忘れてベッドでうだうだしてたら、だんだん瞼が重くなってきてそのまま眠ってしまった。
〜そして現在〜
「お風呂は朝でいいやーって思ったとこまでは覚えてるんだけど....なんで外にいるの?
私、夢遊病だったのかな??」
「ウー??」
私の言葉に返事をするように抱き上げた生き物が小首をかしげる。
見た目は奇抜だけど、だんだん可愛く見えてきた。
この場にはこの子と私しかいないし、なんだか急に心寂しくなってきて返事はないとわかってるけどつい話しかけてみる。
「ねぇ、ここ何処か教えて?
あなたならわかる?」
「ウォフ!ウォフ!」
「おい、レティ!ここか!?」
生き物の声に返事するかのように人の声がしたかと思うと、狭い路地裏に大きな影が現れた。
「レティ!急に走り出すからびっくりしたんだぞ!
あれ?君は....?」
影の正体は巨人かと思うほど大きな紅髪の男の人だった。
彼は私とレティと呼ばれた生き物を交互に見ると目をまん丸くして驚いた表情になった。
「レティを平気で抱き上げるなんて、君は何者だ?
見慣れない服を着ているがよその国の者か?」
信じられないとでも言うように矢継ぎ早に質問を投げかけてくる。
この人の喋ってる言葉はなぜか理解できるけど、見た目や服装から日本ではないだろうと予測ができた。
「私は小鳥遊繚、日本人です。気づいたらここに倒れていて、このレティがみつけてくれました。
ここはどこですか?あなたはだれですか?」
「日本?聞いたことのない国だな....それに何故ここにいるのかもわからないなんて、記憶喪失かなにかか?でも、なぜレティがなつくんだ.....」
私の質問はそっちのけで、考え込んでしまった彼。
体に見合った大きな手を顎に当て、ブツブツ独り言をつぶやいている。
とりあえず、あなたの名前とこの場所だけでも教えてほしいんだけど....。
「あ、あの.....」
「ああ、すまない。
私の名前はクレイグ・シルヴァ。この国クルノイアを守る魔剣士団の団長だ。」
「クルノイア??魔剣士??」
私の声に反応して姿勢を正し、右の拳を胸に当て挨拶をしてくれたクレイグさん。
せっかくのかっこいい挨拶だが、聞きなれない国の名前と魔剣士というワードに私は戸惑いが隠せなかった。
ここは、私の知っている世界じゃない。
私はなぜか異世界に飛ばされたらしい....。
はじめまして、おはるきと申します。
皆さんの小説を読んでたら自分も書いてみたくなり、この小説を書き始めました!
ただのパンピーが書いたので文章とか下手くそだと思いますが、読んでいただけたら嬉しいです♪
ゆっくりにはなりますが、完結目指して頑張りまーす!