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第3章:盗賊と王子

第3章


ここは、パルム城のプリムの私室である。

白い壁に白い天井。

豪華なカーペットに豪華なシャンデリアを吊るし豪華なふわふわのベッドが置いてあった。

プリムは宝石類をキラキラ輝かせた白いドレスを着せられて居たが、窓の外を見ながら膨れていた。

その回りには、色とりどりの花が沢山、包装されて置いてあった。

その部屋には、プリムと長い金髪で踵まで伸びていそうな髪をなびかせた細っそりした女性と中年腹をなびかせた豪華な服装の中年男性が居た。

女性はプリムに話しかける。「プリム…機嫌を直してちょうだい。ほら、貴方の為に執事達が庭から花を摘んできてくれたのよ。」と周りの花を見た。

中年男性も機嫌を伺いながら話しかける。

「そうじゃぞ。奴らは必至でお前を喜ばせようと庭だけで無くあらゆる場所から花を摘んできたんだ。」

確かに色んな花があったが、白と紫の花はその中には無かった。

「もう!放っておいてよ!ここにある花を摘んできてくれたことは感謝する…ケド、"あの花"は何処にも無いのよ!」とまくし立てる。

すると、ドアの外で兵士が声を上げた。

「王様!何やら、黒ずくめの男が王様に会いたいと申しておりますが…」

それを聞いた王様と呼ばれた中年男性が振り返る。

「フム…こんな時期にワシに会いたいと言う事は…隣国のパルメット王子がやってきたのか?」とドアの外の兵士に聞く。

兵士は少し戸惑い答えた。

「王子かどうかは分かりませんが、綺麗な茶色の髪をしていましたが…」と答えた。

「ほほぅ…ソレは王子じゃな!ほら、プリムや早速じゃが王子が会いにきてくれたぞよ!」とプリムの方へ振り向きながら言う。

「よし。通せ!越権の間にてその者を待たせよ!」と兵士に言うと、兵士は返事をし走って行った。

「ほらプリムや、折角王子が迎えに来てくれたんじゃ。後でも良いから、顔を見せに来るんじゃぞ!」と言い、パルム王はスキップしながら部屋を出ていった。

部屋を出ていった王が見えなくなると、女性―いや、王妃がプリムに話しかける。

「プリムは何で、王子と成婚の儀をするのが嫌なの?」と聞く。

少し間を開けてプリムが答えた。

「私だって好きな人と付き合って、結婚して王宮と離れて幸せに暮らしたいのよ…。」と答えた。

プリムの場合、好きな人とはランドであって彼は盗賊であるので、付き合ったり結婚をしたら王宮から追放されるのは言うまでも無いが。

「お母さんも昔は、プリムと同じ考えだったわ。でもね、あの人と結婚してからは今まで以上に幸せな生活だったわ。」と王妃が語りだす。

「最初は好きでもない人と結婚するのが嫌だった…でも、結婚して何年も起つ内に、あの人の事が好きで好きで堪らなくなっちゃった。だから、プリムも最初はパルメット王子の事を好きになれないかも知れない…ケド、いつかは大好きになれるわよ」お母さんを信じなさい!と言う感じに胸を張る。

が、プリムは首を横に振った。

「大丈夫よ!最初は不安かもしれないけど、お母さんがきっとパルメット王子の事を好きになるように仕組んであげるから」そう言うと、席を立ち部屋を出ていった。

「余計な事をしないでよ…」とプリムは呟き、雨の降る外をずっと見ていた。



ランドは越権の間で、王様を待っていた。

ランドを囲む様に、部屋の壁には兵士がずっと立っていた。

越権の間は、とてつもなくデかい部屋だった。

部屋の奥に行くほど、数段の階段があり登りきると王様の椅子があり、その隣には王様の椅子より一回り小さい椅子が2つ並んでいた。

その前には、白ヒゲの爺さんと鎧を着た男―騎士団の隊長であろう―が両脇に立っていた。

しばらくすると、椅子の後ろに通路があったのかそこから豪華な服を着た中年の男性が出てきた。

男性はゆっくり椅子に座り話しだす。

「よく来た王子よ!」ランドはキョトンとした顔をした。王子?何の事であろうか。しかし、王様は続けた。

「この雨の中、わざわざこのパルム城まで来てくれたのは感謝をしている。今日は何用で来たのじゃ?」王様は、王子が何をしに来ていたのは知って居たが、敢えて質問をしてみた。

ランドは膝まづき、頭を下げ王様に話した。

「実は、このお城から離れた町―クルシス町の、酒場を潰さないで欲しく…王様に直々にお願いを申しあげたく参りました。」とゆっくりと話す。

王様はフムフムと頷き、答えた。

「フム…王子は成婚の儀を…」と言葉を止めた。

「今何を言ったのじゃ?あの寂れた酒場を潰すなと聞こえたが…」と驚きながら聞いてきた。

「ハイッ!あのBARは、俺の…いや俺達の居心地の良い場所です!是非、あの店を潰すのは辞めて欲しいのです!」

とランドは叫んだ。「な…何じゃと貴様…!ワシの言う事に反論をすると言う事か…!」と怒りを露にする。

「ええそうです!王様のやっていることは、ただの自分勝手です。自分勝手な理由で、俺達の大事な場所を奪われたく無いです!」と更にランドは反論した。

王様の中で何かがキレる音がした。

「えぇい!その者は、ワシを脅かす反逆者じゃ!その者を撃ち殺せ!」と叫ぶや否や、兵士達が一斉に銃口をランドに向けた。そして、一気に撃ち放つ。


パンッパンッパンッ!


その音は、プリムが居た部屋にまで聞こえてきた。

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