第2章:王女と花
第2章
それより少し前の出来事である。
「何で城に戻らないといけないのよ…」とプリムは目の前にいる白ヒゲの爺さんに言った。
白ヒゲの爺さんは、ヒゲが自慢なのだろうか、左の人指し指で髭をいじりながら答える。
「王女様…最近、寂れた酒場に入り浸っていると報告を受けました。あんな所に居ましたら、王女様の教育上よくない!と王様がおっしゃりまして、王女様を城へ案内するためにワザワザ教育係の私がこうしてやってきたのであります。」と話す。
また近隣の住民の報告だろうか…。とプリムは怒りを覚えた。
爺さんは更に続けた。
「更に、王女様がまた城を抜け出しあの寂れた酒場に行かないように、王様はあの酒場を潰す事にしました。」
プリムはそれを聞いて怒りだした。
「な…あのBARは関係無いでしょ!」とテーブルをドンと叩く。
テーブルの上にあった花瓶はカタカタと揺れるのを見て、パッと押さえる。
爺さんは続けた。
「いいえ!酒場は関係無くとも王様が決めた事です!王様が言う事を逆らう者は、打ち首になりますよぞ!例えそれが王女様であっても!だから、王女様は城に帰り隣国のパルメット王子と結婚を致して、幸せに暮らして欲しいと…」
今まで静か?に聞いていたプリムは"結婚"と言う言葉を聞いて騒ぎだす。
「ちょ…何言ってんのよ!私は決められた結婚なんてしたくないって何度も何度も断ったじゃない!!」とランドの顔を思いだしながら、叫んだ。
しかし、爺さんは動じない。「良いですか?王女様…貴方はもう少しで20歳になられる。20歳になれば"成婚の儀"を受けなければならないのです!その為には、まず!隣国のパルメット王子とお付き合いをしなければなりませんぞ!!」と興奮して爺さんが席を立った。
その衝撃でまた花瓶がカタカタと揺れる。
「さぁ、帰りますぞ!お前達!王女様を取り押さえなさい!」といつの間にか後ろには、強靭な兵士達が立っていた。兵士達はプリムを囲み取り押さえるとそのままドアの外まで引きずりだす。
「待って!その花を…その花だけでも持ってかせて!」とテーブルの上にある花瓶の中の白と紫の花を指す。
が、爺さんは…
「王女様…城には沢山の花が咲いておりますよ。こんな雑草より綺麗な花が…」と言い花を抜き取りゴミ箱に投げ入れた。
「さぁさぁ、外で馬車が待っております。行きますぞ。」と言うと、兵士達はそのまま外へと向かって行った。「嫌!嫌!離して!」と暴れるが、強靭な腕でしっかりと押さえられ。雨の降るなか、馬車はパルム宮殿へと走らせた。




