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  作者: まっきー
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プロローグ ー覚醒ー

作者のまっきーと申します。

機械類にめっぽう弱いですが、小説を投稿してみたいと思い立ちました。

初心者です。

楽しんで読んでもらえると幸いです。

プロローグ ー覚醒ー


"生きてる"

自分の荒い息づかいを聞き、それだけを確認する。

暗く湿った森独特の空間の中、私は1人仰向けに倒れていた。身体中が針で刺されているように痛い、鼓動が大きく全身を打ち付ける。もっと空気が欲しい、喘ぐと器官がヒューヒューいった。汗と土の匂いがする火照った顔を、冷たい風が撫でていく。私を脅すように樹々のざわめきが一段と大きくなった。鳥たちが一斉に羽ばたいて、鳴き声を発する。


"早く逃げないと"


起き上がるつもりで頭を少し動かしたが、身体は虚ろで置物みたいにそれ以上動かなかった。これは本当に自分の身体なのだろうか?

身体の痛みは増すばかりで、何かを考えることも億劫だった。ただただ涙が溢れては流れていく。頬が濡れている感覚はあった。

身体は疲れきっていて、とろとろと流れ出てくる眠気が全身を満たしていき、視界が暗くなっていく。


"早く逃げないと"


私は重い瞼を上げた。そうだ。早く逃げないと。

涙で濡れた頬を拭おうと、やっとの思いで動かした私の両手は、真っ赤な生温かい液体に包まれていた。強烈な鉄の匂いが鼻に充満する。視界が赤く染まった。

瞬間、巨大な闇が喉元からこみ上げた。心臓が誰かに握りつぶされているようで、息ができない。瞬きをすることもできず、忌まわしい恐怖が蘇る。

私は心と身体が千切れるくらい悲鳴をあげた。喉が焼けるくらい熱く痛くなっても、私は叫び続けた。

そうしないと、自分が何処にいるのか分からなかった。


喉が掠れて声が出なくなる頃、私の意識は元に戻っていた。正常に機能した私の脳は唯一の結論を出していた。


"村は消されてしまった"


自分だけがこうして生き延びることができた。

祖先が守り続けてきたものを、今度は私が守らなければならない。これは我が一族の使命だ。


みんな死んでしまった。そして、"開かれた"。


私は"閉ざさなければ"ならない。


この"白い民"の名にかけて、


あの"扉"を。

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