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魔界の二柱  作者: 国見炯
第一章・誕生編・完
5/32




 ひたすらチェックチェックチェック。

 途中からアスターニェに聞く事は諦めた。返ってくる答えはワンパターンだからね。寧ろイラっとくる事の方が多いからね。

 しかし、2ページ目に差し掛かった所で資料を置いた。遠慮なく、机の上に投げ捨てたといってもいい勢いで叩きつける。

 

 魔王。


 金遣いの荒い魔王。


 これはやっぱ、買い物依存症でしょう。


 何に使うか分からない健康器具。サプリメント。童話から大人向けまで幅広い本。後は異世界の文明の機器。これは維持費にもお金がかかっていそうだけど。

 で、使うだけ使って資金が底を尽いたら、天界もしくは人界に攻め入る。勿論資金稼ぎの為。

 で、本来なら対になるはずの天界の神王も、何故か魔王には叶わない。はっきり言えば規格外。チートもいい所。

 


「アスターニェ。こういう道具を用意して。終わったら魔王をぶん殴り……じゃなくて、話し合いに行くから」


 ぶん殴らなくて済むならそっちの方がいい。

 好き好んでぶん殴りたくなんかないし。


「わかりました。久しぶりにあちら側の領地に行きますねぇ」


「ふぅん。あんまり行き来ないの?」


「えぇ。あちらは魔王様の領地ですから。ですが、女王様が生まれたとなれば、行き来も増えるでしょうけど」


「そうなの?」


 何でだろう。そんな疑問の眼差しを向けてみれば。


「王の魔力によって、特産が変わるんですよ。女王様の魔力は何を齎すのか。今から楽しみです」


「……へぇ」


 あぁ。なんていうかきっと今の私は苦虫を噛み潰したような表情をしてると思う。

 これが何かしょぼいものだったら、きっとアスターニェはチクチクと言いまくると思うんだよね。嬉々として、傷口に塩を塗りこむように言葉を連ねるんだろうな。

 それを考えると今から胃が痛いと、服の上からさすっていたらアスターニェが分かりやすく笑う。

 だからその笑顔は嫌な予感しかしないってば。


「大丈夫ですよ。女王様の齎すものならば、我ら女王様の臣下は何であっても愛せますから」


 私に右手を差し出し、美麗な笑みを惜しむ事無く向けてくる。


 …ち。観賞用であったのならウットリするのに。

 そんな私の思考を読んだのか、アスターニェがつれない方だ、何て言いながら差し出していた手を引っ込める。

 何をするにしても、楽しそうでいいね。

 これから無駄遣いな買い物依存症の魔王と対峙するかと思うと、気が重いんだけど。自分で決めた事なんだけどさ。

 赤字を見ると、何ていうか整理しなきゃ落ち着かないのよ。

 あぁっ。赤字工場のトラウマが。



「それでは女王様の望み通り、こちらを準備してまいります」


「あー…うん。お願いね。強度はそれなりに。潰れて欲しいわけじゃないからね」


「それは残念です」


「残念ですだからじゃないから」


 そんな瞬殺な凶器を作りたいわけじゃないのよ。

 あくまでつっ込み道具のハリセンが欲しいだけだからね。結構痛いだろうけど。


「一時間もあれば準備出来ますから、女王様は優雅にティータイムでも楽しんでいて下さい」


「一時間か…早いね。まぁ、優雅かどうかは知らないけど、わかった。人間の味覚用の紅茶がいいな」


「わかっておりますよ。それでは」


 優雅はどっちだか、とつっこみを入れたくなるような優雅すぎる動作で部屋を出て行くアスターニェ。

 一般市民の私にはいまいちついていけないような気がするなぁ。


 




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