ふざける少女
それから1回も真理亜は家に来なかった。
空「俺⋯言い過ぎたかな⋯」
心「そんなことないと思う。僕は。」
空「ありがとうね⋯
でも⋯それでもあの人は⋯」
心「⋯あんちゃん、そんな落ち込むなってよぉ~」
空は困惑した。というより、言葉が出なかった。
空「⋯え?w それどこで覚えたよ?w」
心「⋯道を歩いていた若者が喋っていた。」
空「ってか⋯(あんちゃんって古くねか?);」
心「⋯?」
空「あ、いや; なんでもないんだけど⋯
いやその⋯⋯全部耳にした言葉を真似するのは
やめてくれるかな⋯?;」
心「⋯わかった。」
空「(なんだよその気に食わない顔ーっ!)」
すると、心は頬を膨らませた。
なんだか可愛くて空は笑ってしまった。
その時、空は何かひらめいたかのように
手をポンっと叩いた。
空「なんか⋯にらめっこやらない?^^
心が何を覚えたかも知りたいしさっ」
心「別に⋯いいが。」
空「OK! えっと⋯ルールはわかるね?」
心「ルール⋯」
空「えっと⋯」
にらめっことはこうだ。
基本は二人が向い合わせになり、
「にらめっこしましょ
笑うと負けよ、あっぷっぷ」
とわらべうたを歌う。
うたの最後の「……っぷ」にあわせて無表情、
またはおかしな表情をつくり、
どちらかが先に笑ったら負け、
というルールで勝ちを競う。
空「OK? いくよ?」
心「うむ。」
空「にらめっこしましょ、
笑うと負けよっ、あっぷっ」
空&心「ぷ」
⋯
空はシンプルに、頬を手で押さえ、
変な顔をした。
一方、心は最初の数秒間は無表情だった。
空の変顔にも動じなかった。
が、それだけで終わらなかった。
その直後に心はニタァと不敵に微笑んだ。
その微笑みはベテランお笑い芸人とも
張り合うほどの変顔であった。
空「ぷっ⋯ ぷっはっははは!」
すると、心はいつもの無表情に戻った。
空「いつもからその表情をしてくれたらいいのにさぁっ」
心「無表情であればエネルギーが最小限ですむ。
無駄なエネルギーを遣いたくない。」
空「いやいや、そんなこといわないでよーっ><。
表情ぐらいでエネルギーなんて使わないよ?」
心「そこまでして僕が表情を見せたほうが
いいというのか。」
空「⋯いや、⋯だってさ? 心ちゃんの
笑顔は天使の笑顔なんだよ?
誰もがみんな笑顔になっちゃうのー!」
すると、心はふざけて、また不敵な笑みを見せる。
空「ぷっはっははははっ!!!」
空は腹を抱えて大爆笑した。
空「お笑い芸人認定♥」
心「お笑い芸人をするぐらいなら
せめてコンビがいい。」
その言葉を聞いて、空はなんだか温かくなった。
心が自分を信用してくれている。
それが、まっすぐに伝わった。
空「⋯それは⋯よかった^^」