零れる少女
それから、真理亜はたびたび空の家へと訪れた。
そして、何回目か来た時。
空は気になっていたことを尋ねた。
空「ねえ⋯心は、どうして作られたの??
何のためにここに来たの??」
空は真理亜が真実を告げてくれると信じていた。
しかし、真理亜は顔色を悪くして、こう答えた。
真「実験よ⋯。」
空「え??」
空は戸惑った。 もっとちゃんとした答えを
言ってほしかった。今までに実の母を疑うことなど
1度もなかったのに。
空「じゃあ⋯その⋯何の実験で??」
真「それは⋯」
そう言いかけた時、真理亜の目には涙がたまっていた。
空「なんでだよ⋯」
悲しみとともに、怒りがこみ上げてくる。
あんな純粋な少女に、それほど隠すような真実が
あるというのか。実の息子にも言ってはいけない真実があるのか。
空「なんで⋯何で言ってくれないの!?
俺たちにそんなに隠す必要があるの?!」
真「知らないほうが⋯いいの。」
そう告げると、真理亜は家から走り去ってしまった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
その後、心を探すと、階段の前でうつむいていた。
さっきまでの話を全て聞いていたようだった。
空「あ⋯そんなに気にしな⋯」
心「そんなに僕が邪魔者か?」
空「え?」
心「邪魔だったら、僕を殺せばいい。
別に僕は悔やむことはないし
仕方ないことだ。」
空は心が矢で突き抜かれたようだった。
言葉があまりにも重かった。
空「⋯心」
心「自分でできないというのならば
僕は自分で殺す。」
空は追い打ちをかけられた。
そう言い、心は階段を上っていこうとした。
その時。
空は心の手をつかんだ。
空「そんな⋯馬鹿なこと言わないでくれよ⋯」
心「馬鹿だと思うか。」
空「え⋯?」
心「僕には最低限の感情があった。
その感情を育てたのは空、お前だろう。
こうして僕は感情を持てるようになった。
しかし、この【心】を育ててくれた
空を傷つけることしかできない。
所詮、僕なんて必要じゃない。
誰にも必要とされていないのだ。」
空「そんなことない!!」
心「⋯」
空「僕は君がいたから変われたんだ!
今まで全く生きがいのない人生に、
生きがいを感じさせてくれたのは
心じゃないか!!
心と一緒にいれるのが一番だよ?
心は僕を傷つけたりなんかしてないじゃないか⋯
例え君がそう思っていても、
僕の心はちっとも傷ついてないよ⋯」
空はそう言い、心をぎゅっと抱きしめた。
心「空⋯」
すると、心の目から小さな粒が1つ2つと零れ落ちた。
空「ほらほら、泣かないでっ^^」
心は必死に涙を拭う。
心「泣いてなんか⋯いないぞ⋯」
そんな心が可愛くて、空はまた抱きしめてあげた。