表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/22

零れる少女


それから、真理亜はたびたび空の家へと訪れた。


そして、何回目か来た時。


空は気になっていたことを尋ねた。


空「ねえ⋯心は、どうして作られたの??

  何のためにここに来たの??」


空は真理亜が真実を告げてくれると信じていた。


しかし、真理亜は顔色を悪くして、こう答えた。


真「実験よ⋯。」


空「え??」


空は戸惑った。 もっとちゃんとした答えを


言ってほしかった。今までに実の母を疑うことなど


1度もなかったのに。


空「じゃあ⋯その⋯何の実験で??」


真「それは⋯」


そう言いかけた時、真理亜の目には涙がたまっていた。


空「なんでだよ⋯」


悲しみとともに、怒りがこみ上げてくる。


あんな純粋な少女に、それほど隠すような真実が


あるというのか。実の息子にも言ってはいけない真実があるのか。


空「なんで⋯何で言ってくれないの!?

  俺たちにそんなに隠す必要があるの?!」


真「知らないほうが⋯いいの。」


そう告げると、真理亜は家から走り去ってしまった。



 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



その後、心を探すと、階段の前でうつむいていた。


さっきまでの話を全て聞いていたようだった。


空「あ⋯そんなに気にしな⋯」


心「そんなに僕が邪魔者か?」


空「え?」


心「邪魔だったら、僕を殺せばいい。

  別に僕は悔やむことはないし

  仕方ないことだ。」


空は心が矢で突き抜かれたようだった。


言葉があまりにも重かった。


空「⋯心」


心「自分でできないというのならば

  僕は自分で殺す。」


空は追い打ちをかけられた。


そう言い、心は階段を上っていこうとした。


その時。


空は心の手をつかんだ。


空「そんな⋯馬鹿なこと言わないでくれよ⋯」


心「馬鹿だと思うか。」


空「え⋯?」


心「僕には最低限の感情があった。

  その感情を育てたのは空、お前だろう。

  こうして僕は感情を持てるようになった。

  しかし、この【心】()を育ててくれた

  空を傷つけることしかできない。

  所詮、僕なんて必要じゃない。

  誰にも必要とされていないのだ。」


空「そんなことない!!」


心「⋯」


空「僕は君がいたから変われたんだ!

  今まで全く生きがいのない人生に、

  生きがいを感じさせてくれたのは

  心じゃないか!!

  心と一緒にいれるのが一番だよ?

  心は僕を傷つけたりなんかしてないじゃないか⋯

  例え君がそう思っていても、

  僕の心はちっとも傷ついてないよ⋯」


空はそう言い、心をぎゅっと抱きしめた。


心「空⋯」


すると、心の目から小さな粒が1つ2つと零れ落ちた。


空「ほらほら、泣かないでっ^^」


心は必死に涙を拭う。


心「泣いてなんか⋯いないぞ⋯」


そんな心が可愛くて、空はまた抱きしめてあげた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ