笑顔見せる少女
「夢⋯⋯、か。」
心は自分の部屋でつぶやいた。
空に無理やり用意させた自分の部屋には、
まだ山積みの本しか置いていない。
真理亜に本棚とクローゼットと洋服を仕送ってもらい、
それらの荷物を置くつもりだった。
大して広くない部屋。
もちろん、その部屋の大半は本で埋め尽くされていた。
小説はリビングで読んでいるのだが、
本の保管はここですることにした。
心「夢とはいかなるものか。」
心はロボット特有の脳の発達のをしていて、
唯一、夢を見ることができなかった。
少女には過去の記憶が一切ないため、
夢を見るための記憶も引き出すことができない。
しかし、白昼夢はみることは可能だった。
心「夢とは⋯想像の世界なのか??」
心にとって、【夢】とは不思議でたまらないことだった。
心「でも、空は悪夢と言っていた。
現実に戻される⋯。
それでは、日常的に夢を見ている
ということか??」
考えれば考えるほどよくわからなくなってくる。
知能は、人間よりは高いようだが、
ずば抜けて高い、というわけでもないようだ。
心「僕にはわからないことだ。
触れないことにしよう。」
読みかけの本を置いたまま、
部屋を出て行った。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
1階に下りると、そこには見覚えのある顔が。
心「ツルタニ!」
嬉しそうな声と共に駆け寄った。
真「あらあら、随分と心が植えつけられたわねっ」
空「俺のおかげってわけでもないけど⋯w」
心は、真理亜にも頭をなでてもらい、
自然な笑顔を見せていた。
どうやら、頭をなでてもらうことが好きなようだ。
心「久しぶりだ。」
真「いまだにツルタニっていうのねっ
ふふっ♥」
空「俺のことは[空]って呼ぶもんな!!」
心「鶴谷真理亜はツルタニ。
鶴谷空は空。そう呼ぶように
プログラミングされている。」
空「いやいやいや、作られた後に
名前教えたのに⋯w」
真「心ちゃん、それが、感情ってものよ^^」
心「そ⋯そうか。」
空「で、真理亜は何の御用で??」
真「いや⋯大したことは何もないわよ^^
ただ、この子の様子が見たくてっ」
空「そんなことならダイジョブだ!!
俺に任せりゃなんでもできるもんっ」
真「それなら安心したわ。
また来るかもしれないけど、
またその時はよろしくね♪」
空「うんっ★
心もいつもと違って、嬉しそうだしっ」
空は意地悪そうにいった。
心「わ⋯、悪いかよ⋯///」
少し顔が赤くなったところがまた可愛かった。
真「じゃあ、そろそろ⋯」
空「え、もう行くの??」
真「どうせ近いんだから、嫌でも
毎日だって来れるじゃないっ」
空「まーっそーだけど⋯w」
真「じゃあっ」
真理亜は久しぶりにかえってきたのにも関らず、
いつものように早々と帰ってしまう。
真理亜がそういう性格なのだと知っているから
空は何も言わないのだが。
心「また⋯来てくれると思うか。」
空「うん⋯きっと^^」