02 始まりは・・・②
「確か、リース・オーディオスだったっけ?」
「な、何で私の名前・・・。」
「周りの奴らが教えてくれた。この王宮の中での落ちこぼれは俺とあんただけだってさ。」
「・・・・・・。」
痛い。本当のことだけに痛すぎる。
「ほ、本当に、グラディアスさんっ?」
「そうだけど?」
「だ、だって、性格が違う!」
「あんたさぁ、バカだろう?」
「なっ?」
バカって。バカって言った!
「俺は、魔法が使えないんだぜ?それなのにこんな口調でしゃべってるとますます周りから反感買っちまうだろーが。」
「・・・・・・・・」
確かにその通りだ。
「この性格だと中傷がウザイだけで、面倒くさいことにはならないし。やっぱり、人間うまく立ち回らねーとな。・・・あぁ、あと。」
「・・・あと?」
「あと、自分より劣っている人間に翻弄される奴ら見るの楽しいし?」
「・・・・・・!」
さ、最悪だ。この人!
「まぁ、まさかこんな形でバレるなんて思わなかったけどな。」
言いながら、グラディアスは何故かリースに近づいていく。
「え、な、何ですかっ?」
「さぁ、なんだろうな?」
にやりと笑いながら近づいてくる彼に、リースは嫌な予感を抱きながら、後ろにジリジリと後ずさる。
ートンッー
「・・・っ」
「追いつめたぜ?」
グラディアスは、ダンッと壁に手をつけ、リースを逃がさないようにしながらニヤリと笑った。
そして。
ーチュッー
「・・・え?」
「ごちそうさま。」
い、今、、き、き、き、キスされたっ!?
「な、な、な、何するんですか!」
「口止め。」
「へ?」
「だーかーらー。く・ち・ど・め!俺のこと言うんじゃねーぞ?まぁ、誰も信じねーだろうがな。」
じゃぁなー、と去っていくグラディアスにリースは、顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「わ、わ、私のファーストキスー!!!」
・・・遠くの方から、グラディアスの笑い声が聞こえたのは、きっと気のせいではないだろう。
こうしてリースの受難の日々が始まるのである。