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友達

作者: O馬鹿者
掲載日:2026/04/16

 僕なんかといてもつまらないでしょう?

 心のなかで何度もそう訊いた。

 東京へ行ったとき、新幹線の車内でも、地下鉄で移動してるときも、僕はただ○○くんの隣で心配そうな顔をしているだけだった。

 僕は電車の窓の外をぼうっと眺めていて、○○くんはスマホを見つめていた。

 僕と一緒にいても、○○くんはスマホの向こうの友達とやり取りをしていた。

 思えば不思議な関係だったと思う。

 中学からの友達で、高校が違っても、○○くんは僕のことを遊びに誘ってくれた。普通は学校が違えば疎遠になるはずなのに。僕といると楽しいのか、それとも別の感情から来ているのか判別できなかった。

 それでも誘ってくれることが嬉しかった。

 ○○くんと友達と言えるようになったとき、僕たちは中学生で、まだ正常と異常の境が曖昧で、きっとあの頃からおかしかった僕も、まだ人のなかにいることに暖かさを感じていた。

 あの頃が懐かしい。

 僕の時間はあの頃から止まっている。

 僕がまだ普通で、いちおう友達と呼べる人たちもいて、普通に笑ったりもできていた。はずだ。

 今の僕は親の顔もまともにみれない。

 人と喋っても言葉が出てこない。

 心が石みたいになって、頭が真っ白になって。

 どんどん自分がおかしくなっているのを感じる。

 小学生のとき、朝顔だかトマトかを植える授業があったのを思い出す。結局、僕の苗は育たなかった。いや、僕だけじゃなく、クラスの半分は上手くいかなくて、支柱から幹がはみ出したり、そもそも芽が出ないのも多かった。

 人間も、そうなんじゃないかと最近思う。

 僕は芽が出ない苗を抱えて部屋にいるよ。

 成長が止まった苗は僕だけなんだろうか。

 外の広い世界に出ていく人もいれば、部屋の中で過ごす人もいる。

 ○○くんは、僕を東京に連れて行ってくれた。

 だからどうってことはないだろうけど、○○くんがスマホを見ている横で見た窓の景色が、不思議ときれいな思い出として残っているよ。

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