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ひとりぼっちの海辺で、僕はまた君を探す  作者: 佐伯 独愁 (沼津平成)
1/1

日常

 ポーン、と汽笛が耳を通り抜けて、懐かしい記憶が曖昧に交差した。

 呉梨(くれなし)村にとっては、夏の風物詩の一つだ。日本の領土になっているが、事実上は独立した国のような小島。呉梨島という。呉梨島とはその呉梨島の中の、同じ名前の村なのだ。

 鬼ごっこが始まった。村木俊吾も、無理やり逃げに加えられてしまったのだけれど、何しろ準備ができていなかったもんだから、慌てて走り出した。 

 村木の体育の成績は、デイだ。デイというのは呉梨語で「丁」をあらわす。要するに、一番ペケという意味だ。——村木は国語の成績は人に話すのに、体育だけは頑なに話そうとしない。だから、彼を取り巻くグループは、村木の体育の成績を瞬時に悟るのであったが、それはまた別の話だ——

 氷鬼ね、とあっという間に決められてしまう。鬼は黒木遼十だ。体育が一番得意なやつである。黒木は、狙いを村木に定めた。

 村木は動かなくなった。諦めた。タッチ、と音が聞こえ、黒木の手が村木に触れた。一瞬のうちに黒木と村木で体温を交換した。村木は固まり続けた。

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