ココアとプリン・ア・ラモードをsnsにのせて
オレ、シロウ。
23歳、狼の獣人。
ピカピカの社会人1年生。
繁忙期な会社から、流行りの風邪で3人休んだから、代わりに休日出勤してくれと言われ、15連勤。
入社した所は、ホワイトだって聞いてたのに。
先輩の話だと、普段は本当にホワイトで、今回がイレギュラーらしい。
2週間みっちり働いた。
今日は午後休で良いって言われたし、明日から4連休だ。
お昼ご飯は食べたけれど寒いし、何か飲んでから帰ろう。
カフェであったかいものを飲むなんていいかな。
「カフェ、ピーニャ」
会社から駅に向かっての帰り道。
新しいカフェがオープンしたらしい。
店の中すいてそうだし、ここにしよう。
「いらっしゃいませ」
席に通してくれたのは、羊の獣人の子だった。
かわいい。
芸能人でもおかしくない。
それに、店の中も外もおしゃれだけど、メニューまで凝ってる。
飲み物の他にナポリタンにビーフシチューまである。
美味しそうだけど、とりあえず甘いものが飲みたいな。
ココアにしよ。
「すみません」
「はい」
羊の店員さんが、素早くこちらに来てくれた。
注文を取るためにメモを構えてる。
「あつあつのココア下さい」
羊の店員さん、ぽかんて顔してる。
その顔でも可愛いなんて凄いな。
あれ?
ココア、メニューにあったよな?
「あれ?ココア、メニューに載っていましたよね?」
オレの言葉で、店員さんは動き出す。
「失礼致しました。ココアございます。オプションで、上に生クリームを乗せることもできますが、いかがでしょうか?」
声も可愛いな。
「生クリーム、乗せてください。」
あつあつのココアに生クリーム、美味しそう。
楽しみに待っていると、店員さんが持ってきてくれた。
「お待たせしました。あつあつのココア、生クリーム乗せです。お熱いので気をつけてお召しがりください。伝票とメッセージはこちらに置かせて頂きます」
上の生クリームがとろけてきている。
とっても美味しそうだ。
「ありがとう」
店員さんは、お辞儀をすると少し離れた。
いい香りだ。
いただきます。
オレはカップを傾け、口の中にココアを入れた。
あっつい。
口の中火傷した。
店員さんにどうやら見られていたらしい。
微笑んでいるのが見える。
オレ、カッコ悪いな。
ちゃんと冷ましてから飲もう。
適温のココアは甘くて美味しかった。
冷えてた身体にしみる。
身体もあったまったし、お会計しようかな。
カゴの中の伝票を見るとその上には小さな紙が置いてあった。
そういえば、店員さんが伝票と手紙がどうのって言ってたような。
甘いのがお好きでしたら、当店のぷりんは絶品です。オプションでア・ラモードにすることも可能です。よろしければ、是非、次の機会に食べてみてくださいね。
あつあつのココア、ごゆっくりお召し上がりください。
店員さんからの手書きメッセージだ。
プリン美味しそう。
ア・ラモードは何かわからないけれど、プリンは大好きだ。
お腹は空いているし、この2週間休みなく、稼いだ。
決めた!
頼んじゃおう。
「すみません。プリン・ア・ラモードください!」
運ばれてきたプリン・ア・ラモード。
果物と生クリームがのった贅沢な美味しいプリンを食べて、オレはこの店の常連になった。
週に一度は、予約を入れて通っている。
羊の店員さん、いる時は必ず接客してくれるんだよな。
かわいいし、手書きのメッセージが典型文じゃなくて、考えたメッセージをくれるから嬉しい。
最初はびっくりしたけれど、この店は必ず店員さんが手紙をくれるらしい。
前回はお仕事お疲れ様ですのメッセージくれたけれど、今回はなんだろう。
え?
名前と連絡先?
いいの、これ?
こんな可愛い子の連絡先、手に入れちゃって良いの?
連絡してくださいね♡
かわいいな。
絶対連絡するでしょ。
友達追加するよ。
彼女のsnsのアイコンは、生クリームのを乗せたココアとプリン・ア・ラモードだった。
どうやら彼女は、2ヶ月前くらいのオレを覚えてくれていたらしい。
これはいける。
オレは、彼女を人気の映画へと誘った。




