プロローグ : 境界への招待
初めての投稿なのでお手柔らかに^ ^
漆黒の闇の中で、私は意識を取り戻した。最後に覚えているのは、激しい嵐の中で足を滑らせた瞬間だ。だが、ここはあの世界とは違う。周囲を見渡すと、無限に続く鏡の迷宮が広がっていた。それぞれの鏡には異なる風景が映し出され、どれも現実離れした光景だった。
私の名前はアリス・レイヴン。ただの平凡な大学生だった。いつも通りの日常が続くと思っていた――あの嵐の夜までは。
幼い頃から、私は常に他人の期待に応えようと頑張ってきた。両親は厳格で、私に完璧を求めた。学校では優等生として評価され、友人たちにも頼られる存在だった。しかし、その裏で私は常に孤独を感じていた。誰も私の本当の心を知ろうとはしなかった。
大学に進学してからも、私は自分を押し殺し続けた。家族の期待に応えるために、私は夢を諦め、彼らが望む進路を選んだ。そして、その重圧が日に日に私を追い詰めていった。
人の死は時として唐突に訪れるものだ。
その日は特にひどい嵐が街を襲った。大学からの帰り道、雨が激しく降りしきり、風が木々を揺らしていた。私は早く家に帰ろうと急いだが、橋の上で足を滑らせてしまった。
身体が宙に浮かび、激しい流れに飲み込まれる瞬間、全ての力が抜けていった。冷たい水が肺に入り込み、息ができなくなった。その時、私は初めて自分が本当に望むもの−−自由–−を心から願った。
「これで終わりなんだ…」
意識が遠のく中で、私は薄れゆく視界の中に、何か光るものを見た。それは、川底に沈む一枚の鏡のように見えた。