84 ガールズトーク お久ゴッファッ!!
「えっと、今回はこちらですか?」
以前とは違う広い場所にやって来ました。というよりも、どうやら兵士の訓練所の一角のようです。
「はい。以前は人目に付かない場所でしたが、目指す所を考えるとここが良いと思いました」
アワーフレッタさんの瞳がランランと輝いているのが気になります。
「ええっと、では早速お願いします」
「はい、任されました。ヘビウェイ」
ズズンと重たいのが来ました。
「これが最大ですか?」
謁見の間の時に比べて負荷が弱いように思いました。あの時は不意打ちとはいえ、立っていられなかったのですから。
「いえ、まだです。準備運動です」
確かに、あの時のレベルの負荷を一気にかけられても、私の体はまだ受け止めきれません。
何事も軽めから始めるのが良いのでしょう。
まあ、回復魔法があるので、壊れてもすぐに対処は可能ですけど。
「気遣ってもらえるのは嬉しいですが、かまう事はありません。一気に最大でお願いします。魔力切れになってもかまいませんから」
「その時は、久しぶりにお願いしますね。ヘビウェイッ!!」
謁見の間で襲われた負荷がきました。ですが、あの時よりも少し成長している私は、潰されず、両手を足に置いた状態で何とか踏ん張っていました。
「うわぁ、これが噂の頭のおかしな特訓なのね。エレナはここからひたすらに回復魔法を唱え続けるのね?」
以前はそうでしたが、今回は育てなければいけない魔法があります。
「新しい魔法を覚えたんです。ケチルナ」
使うと、真っすぐ立つ体勢を維持するだけなら出来るようになりました。
「急に普通に立ったね。それ、身体能力を強化する魔法なの?」
「今まで使っていた回復魔法の効果に加えて強化がかかります」
「なんか、もうそれだけで良い感じの効果ね。で、その姿勢から動けるの?」
残念ながら、今は少しでも傾くと引っ張られて倒れてしまいそうです。
指を動かすとか、手首を回すくらいが限度でした。
「エレナ様、解きます」
最大魔力を注ぎ込んだアワーフレッタさんの魔力切れが近いと一言。
解いた瞬間に全身の力が抜け、彼女が崩れ落ち始めた所をエリンナが支えました。
「エリンナ、そのままでお願いします」
「え? うん」
私はアワーフレッタさんに近付き、手を取りました。
「シェマク」
「ゴッファッ!!」
「!?」
見えない何かを吐き出すと、アワーフレッタさんは静かに立ち上がりました。
「ヘビウェイ」
そして私に負荷魔法。このパターン、とても懐かしいです。
「ケチルナ」
後は無限ループです。
「いやいや、待って。おかしい。一旦止めよ?」
一人、あたふたして私達を止めるエリンナ。
「どうしたの、エリンナ?」
「そうですよ。今は一秒も無駄に出来ないんですよ」
止めている時間は無いと、そのまま訓練を続ける私達。
「え、これ、私が悪いの? いや、訓練はそのままでも良いけどさ。いやでも、おかしくない?」
特に何もおかしな所は無いように思いますが、彼女は何処でおかしいと思ったのでしょう。
「彼女今、何か吐き出したんだけど。そこについては疑問に思わないの?」
「ああ、そこですか。あれは呼吸が止まった人が呼吸出来るようになった時になるあれですよ」
「あれって何!?」
「自身の用量以上の魔力が出ただけですよ」
「それ、溢れ出して大丈夫なの!?」
私とアワーフレッタさんは、それぞれに違う事を言っていました。
「お願いだから、認識は共通にしておこう? ね?」
ね? と言われましても、測定機器などを使って確認している訳では無いので、私にはさっぱりなのです。
「エリンナさん。私達の認識なんて、遠く及ばないものですよ」
アワーフレッタさんが諭すように彼女に言いました。何故か私に繰り返し視線を向けながら。
「あ、そうだったね。うん」
思い出したとばかりに、急に納得して落ち着きを取り戻すエリンナ。
(待ってください、二人とも。私をおいて二人で理解し合わないで!!)
エリンナではありませんが、認識を共通させて欲しいです。
先行きは不安でしたが、こうして私達の特訓は幕を開けました。




