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81 パパン暴露する 歓喜の空

(これまでの王国の考えを伝える事は出来ましたが、この後はどうするのでしょう?)

 この場に居る人は理解を示してくれましたが、私はまだ警戒を続けていました。

 アワーフレッタさんも、私の様子を理解し、まだ魔法を解かずにいてくれました。

 勇ましく、これまでの王国の考えを話していた王様は言葉を続けます。

「という考えで身も心も滅ぼすと教え伝えてきたのだが、これは方便。建前であった」

 口調を柔らかくし、表情筋を緩める王様。

「実のところ、代々の王族は自身の影を見る事に耐えられなかったのだ。邪悪なるものは人の負の面。認めがたい部分が実体化した集合体。故に対峙したならば、自身の背けていた部分をまざまざと見せつけられる事となる。皆も想像してほしい。自身の認めたくない部分が目の前にある様を。一方で、邪悪なるものと呼ばれたもの達は、本来の場所へと戻ろうと進行をする。切り倒されても、負の面は大陸に人間が居なくならない限りは消えはしない。人が存在する限り、実体化したその目的を果すために彼らは現れ続ける。生まれた場所へと戻り、現れる。代々続く戦いにおいて、邪悪なるものに際限が無いとされていたのはこれが理由なのだ」

 この負の面に対処出来る術を持っているのが聖女という存在です。

 ですがその方法について、私はまだ知りません。

「ここまでの話を聞き、皆の心に不安や恐怖が生まれているだろう。しかし、その感情に呑まれる前に考えて欲しい。負の面とは言わば欠けた半身だ。人は善だけでは生きる事は出来ない。悪のみでも生きられない。二つが合わさり、我々という器は満たされる。我々は本来の姿に戻る事が出来るのだ」

 そう。私もこの話を聞かされた。邪悪なるものと呼ばれた存在の目的は、離れてしまった半身の元へ戻る事だった。

 ただ、その過程で本人以外と接触した場合、オワンネに居た職務放棄した騎士団だったり、ギャライア村で捕まえた組織のように堕落を広めて仲間を増やそうとするようになる。

 最悪な場合は、ギャッツ村の村長と子ども達のように我欲のままに行動するようになってしまう。

 これまで出会ってきた直視したくないタイプの人達や急に方向性を変えた犯罪集団も、実は通りすがりの邪悪なるものと接触をした後だったようです。

「故に今日、この時に私は宣言する。私は今日をもって邪悪なるものとの長きに渡る戦いを終わらせる。そして願う。大陸に住まう者達には、半身を取り戻し、本来の在り方で生きてほしいと」

 王様との一体化を終えたパパンは、事前に全ての邪悪なるものに交戦をしないように伝えていました。なので、最前線に居る者達は皆、自身を取り戻し終えているでしょう。

 後は大陸に居る残された存在が半身を見つけ、一体化するだけで長きに渡る騒が終るでしょう。

「聖女様。私の半身も私を探している最中なのでしょうか?」

 アワーフレッタさんの疑問に、私はどう答えれば良いのか悩みました。

「すみません、アワーフレッタさん。私には、邪悪なるものが誰の半身なのか。人々の半身が欠けているのかを見分けられません。なので答えられません」

 聖女ならそういった事を感じ取れるのかと思ったら、そうでは無いのです。

「では、王様にお尋ねすれば良いのでしょうか?」

「そうですね。王の中に居る邪悪なるものは、全ての邪悪なるものの主と呼べる存在です。パパンなら、一人一人が欠けているかを見分けられるかもしれません」

「分かりました。では、折を見て尋ねてみますね」

 私は、彼女の言葉に「はい」と言って答えました。

(パパンが大体の事を説明してくれました。ですが、大陸の総人口分の邪悪なるものが生まれている訳ではありません。無限にオワンネから湧き出るという話ですが、未だ欠けていない人との違いなどが分かりません。歴代の聖女様は、別の方法で事態を収拾していたようですし……。これもパパンに尋ねれば答えてくれるのでしょうか?)

 その時でした。妙な声が聞こえてきたのは。

(遂に……。遂にこの時が来ましたね……)

 王様を超える威厳を感じる声。自分に話しかけられてのかと思い、見回してみると、場に居る全員が驚いています。それで全員に聞こえている声だという事に気付きました。

 もしや、先代の王様。つまりはオットデキンダー王のお父さんにして、ダイブロス王子の祖父なのでしょうか?

 分からない声の主を探るため、パパンの方へ視線を向けました。

 きっと分かると思っていましたが、パパンの方を見て見ても小首を傾げていました。

 この場に居る誰もが知らない声。その正体は誰なのでしょう?

 気になっていると、また声が。

「はい、それでは人達よ。空を見上げるのです。もっと。もっともっと」

 訳が分かりませんが、言われた通りに空を見上げました。

「今この瞬間、大陸の人達の視線を全て私が独り占め。ああ、気分が良い。とってもとても上がってきたきたぁぁぁぁっ」

 発言が危険で、関わってはいけない人にしか思えない発言。

「アワーフレッタさん。これは集団幻聴でしょうか?」

「怪しいお香が焚かれているようには感じませんが……。もしや、大陸の外から襲撃!?」

 こんな突然開かれた催しに押しかけてくる計画性の無い集団が居るのでしょうか?

 いえ、周到に準備していて、これはチャンスだとしたのでしょうか?

 憶測の域を出ない考えを巡らせていると、パパンの声が耳に入りました。

「か、神だ……」

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