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79 祝いの日 爆上げな二人を眺めて

 一体誰が彼女をこんな風にしてしまったのでしょう?

 私達二人しか居ないのに、私にたくさんの視線が突き刺さっているような感覚がありました。

 ええ、自覚しています。これは間違い無く、私との日々が原因だという事を……。

「そういえばここは謁見の間ですか? このような場所で聖女様に膝枕をしてもらっていただなんて……」

 状況把握に思考を回せるくらいに頭が回復したのでしょう。申し訳無いという表情をする彼女に現状を伝える事にしました。

「何も気にする必要はありませんよ。今は外でどんちゃん騒ぎです」

「え、騒ぎ? 何か問題が起こっているのですか?」

 それは寝ていられないと、急に起き上がるアワーフレッタさん。

「そうではありません。ちょっと外を覗いてみましょうか」

 彼女に寄り添い、部屋を出ると、賑やかな方向へと歩きました。

「あちらを見てください。今、マントを両手を上げて広げて走り回っている人が居るでしょう?」

「ええ、隣りでよく分からない動きをしている人も居ますね」

「あの二人がこの国の王と王子ですよ」

「ああ、王様と王子……。!? まま、まってくださっ」

 驚くのも無理からぬこと。使命に燃えていた王子と、威厳のある頼れる王様だったはずの二人が絶対にするはずもない行為をしているのですから。

「立場上の事はともかく、人として大事なものを取り戻した二人です。今は浮かれさせてあげましょう」

「いえいえ。国民として、あのような醜態を晒す王族は見るに堪えません」

 まあ、お堅い事。彼女もまた、欠けている一人なのでしょうか?

 私には分かりませんが、きっと今の王様なら分かるでしょう。

「今日は祝いの日です。下に降りてみませんか? 酒盛りで食事も豪華ですよ」

「ごちそうは魅力的ですけど……」

 まだ状況を読み込めていないのでしょう。それはあの下で賑やかにしている人達も同じはず。

 王様達も待たせているので、ここは強引に連れて行きましょう。

「アワーフレッタさん。失礼しますね」

「え? きゃっ」

 可愛らしい声を上げたのは、私が抱きかかえたから。

 そのまま窓から飛び降り、着地しました。

「着きましたよ、アワーフレッタさん」

「つ、つつ、着きましたって、三階ですよ。何考えているんですか!!」

「大丈夫ですよ。私が過ごさせてもらっていた部屋よりも低かったんですから」

「あの、何を言っているんですか?」

「私がお城を抜け出した時よりも低いというお話です」

 怖がっていた彼女は、一瞬にして正気を疑う人の顔になっていたのは、今後も忘れる事は無いでしょう。

 こんなやりとりをしていたら、王子がやって来ました。

「ヒュ~、見てたよ、見てたよ。ほんと、人辞めてる系女子だね☆」

「おかしな褒め方をしないでください」

 両の人差し指をこちらに向けつつ、星を飛ばしていそうなウインクをしてきたので、エアーで払い除けました。

「聖女様、つ~め~た~い~。もっと気分高め合っていこうぜ。今日という祝祭の時にさ」

「それにしても、驚きの変わりようですね。まあ、出会った時よりもまだ会話する気になりますけど」

 雑で冷たい返しをする私に、アワーフレッタさんはギョッとした表情でこちらを見つめていました。

「あ~っと、パパンから話に聞いていたアワーフレッタちゃんだね。面白い百面相をする子じゃん。遠巻きに見ていた時よりも印象違うし」

「お、王子様が私なんかを見ていたんですか!? 恐悦至極。恐縮萎縮です」

 王族に覚えられている事に、彼女は驚き、反応に困っていました。

「この規格外聖女様の生みの親でもある訳だし、ある意味立役者だよね。褒めて遣わしちゃう。手の平こっちに向けて」

「え、は、はい」

「やっは~い」

 何一つ理解出来ていないアワーフレッタさんの手の平にハイタッチする王子。

 彼女は、頭上にハテナマークを沢山浮かべて困惑していました。

 交流も一段落したようで、王子に声をかけました。

「待たせてしまって申し訳無いのですが、そろそろ集まった皆さんに真実を打ち明けてはどうでしょう?」

「そうね。そろそろ宴の趣旨を話さないとね。皆ぎこちなくて盛り上がりに欠けてたんだよね~」

 そうでしょうねと、私は頷いて話を聞きました。

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