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聖女の乱進 ~無限の魔力で目覚めました~  作者: 鰤金団
聖女様目覚める
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8 膨らむ期待

「先程、魔術師団と仰っていましたが、この世界には魔法が存在しているんですか?」

 空想の産物でしかない私の世界とは違うという確証が欲しくて確認しました。

 聖女降臨なんて怪しい儀式が成り立っている時点で、剣と魔法の世界であってもおかしく無いとは思っていましたが……。

「え? ええ。存在しています。聖女様をお呼びした儀式も魔法ですよ。せっかくですので、一つ、お見せしましょう」

 私を呼び出したのもやっぱりそうだったのかと思いつつ、お願いしますと頭を下げました。

 ニットレッカーさんは、両手を床に向けました。

「では聖女様、始めますよ。ロックドール」

 両手を向けた先の床の上に小さな石粒が現れました。その粒が徐々に大きくなり、縦長の塊になりました。更に五ヶ所から突起が出来て、それぞれが頭と手足へと変化していきました。  

 形作られたそれは、人の形をしていて、私の世界で幼い子が抱えられるくらいの大きさになっていました。

「す、すごい……」

 私の居た世界では編集などを使わないと起こりえない事が目の前で起こりました。

 改めて異世界だと実感し、魔法が実在しているのだと分かると感動が止まりません。

「その名の通り、石の人形を生み出しました。もう少し魔力を込めるとより大きくなり、岩の人形になりますが、室内ですのでこちらの大きさでご容赦ください」

 操る事も出来ますよと、石の人形と共に頭を下げるニットレッカーさん。

 糸の付いていない人形のようで、それがまた面白かったです。

 誰もがファンタジー物に触れて思う、自分だったらあんな事やこんな事がしたいという夢が実現出来そうで、ワクワクが止まりません。

「私、魔法というものを始めて見ました。凄いです。私も可能なら使いたいくらいです」

 別の世界の人間なので、無い物強請りかとも思いましたが、こうも目の前で見てしまっては、期待が抑えられなくなるというものです。

「それは丁度良いです。実は、今日聖女様をお尋ねしたのは、魔法についてなのです」

「そ、それは、私も魔法を使えるようになるということですか!?」

 夢と希望に胸が更に膨らみました。この世界に来て、初めて良かったと思えた瞬間でした。

「そうですね。歴代の聖女様が魔法を使用したという記録があります。魔法が存在していなかった世界から降臨なされた聖女様でもです。なので、聖女様も魔法を使用出来ると思います」

 ニットレッカーさんの説明は、これ以上に無いくらいに私を喜ばせました。

 だって、聖女なら確実に魔法が使えるという保証してくれたようなものでしたから。

「ああ、ですが聖女様。魔法を使うためには、それぞれの属性に対しての適性が必要です。ですので、今日はその適正について調べさせていただきたいのです」

 聖女だから全てを扱えるという訳ではなさそうです。そこはがっかりでしたが、仕方ありません。

 賢者成分多めの聖女とかも面白そうだと思ったのですが……。

「因みにですが、ニットレッカーさんはその、魔法の適正が分かるのですか?」

「はい。こう見えて私、全ての属性の魔法を使えますから」

 聖女よりもチートな存在なのでは? と口を突いて出そうになりました。

「この世界では、全ての属性に適性を持つ人は多いのですか?」

「そうですねぇ……。直近では百年前でしたか。大陸では、になりますが」

 随分と貴重な才能を持っているようです。

 適性があれば魔法を扱えると聞いた今となっては、聖女などという肩書よりも、とても羨ましい話です。

「あの、失礼と無知を承知で質問をさせてください」

「はい、どうされました?」

 どのような質問でも構いませんという受け入れの表情。私はその表情を信じ、思っている事を口にさせてもらいました。

「もうニットレッカーさんだけで、邪の存在を倒せるのではありませんか? それこそ、聖属性の魔法を使ったりとか。そうのような属性があるのかも分かりませんが」

「なるほど。聖属性で邪の存在を……。確かに、歴代の聖女様は必ず聖属性の適性を持っていたと記録されています。なので、そのように発想をされるのは自然ですね。ですが、聖属性は聖女様のみの特別な属性ではありません。そして、聖属性は癒しの力に分類され、攻撃に使用出来る魔法は存在しないとされています。歴代の聖女様も、聖属性の攻撃魔法を使ったという記録はありません。ですので、聖属性が邪に対して有効であるとは、残念ながら言えません」

「そうでしたか」

 マクシタテルンさんの説明の次に長いお話でした。

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