69 過剰ストレスのお供に ご連絡
「分かったという事で、もう一度質問しますね。どうして騎士団は邪悪なるものと楽しそうにしていたんですか?」
「始めは敵だと思っていたんです。ですが、戦っているとそうでは無いと分かったんです」
ここは戦場と聞いていましたが、実際には違ったというのでしょうか?
騎士団の人は話を続けます。
「彼らは私達の全てを受け入れようとしてくれた。なのに、一方的に私達は切り捨てた。それでも彼らは両手を広げ、私達に寄り添おうとしてくれたんです」
私は、その光景を想像して怖いなと思いました。
だって、殺意を向けている相手に無防備に近づき、耳心地の良い言葉を投げかけ続けてきたという事でしょうから。
最前線という尋常ではないストレスの真っ只中に居た騎士団の人達にとって、邪悪なるものの言葉は、さぞや耳心地の良い言葉だったでしょう。
(もしかすると、王国が恐れていたのはこういう事態だったのではないでしょうか? 相手から戦闘意欲を奪い、骨抜きにする。そしてその後は……。どうするのでしょう?)
骨抜きにして命を奪うというありきたりな方法が真っ先に浮かびました。ですが、現状を見る限り、十分に可能となっていそうなのに騎士団の人達は生きています。これは不自然です。
「そこの人。あなた達は結局、何がきっかけで現れ、何を目的としているのですか?」
邪悪なるものに尋ねました。
「ここで話せるけれど、話せなくなっちった。ごめんご~」
「はい?」
話せるのであれば、話してくれた方が時短になるので私としては助かります。だというのに駄目とはどういう事でしょうか?
「会いたいって連絡が来てさ~」
「会いたい? 一体誰が? 先ほどではなく、今? どうやって連絡を?」
天啓云々言っていた時かと思いましたが、違う様子。
私の目には、邪悪なるものが遠くの誰かとやり取りをしていたようには見えなかったので、頭の中はハテナで一杯でした。
「あ、待ってください。テレパシー的なものですね? 遠くの人と頭の中でやり取りするという。そういう力を持っているんですね?」
「あ~それそれ、そうそう。そういう力で今ビビビ~ンと来たのさ。連れて来いってさ」
「そうでしたか。では、お相手は?」
正解が嬉しくて、声も明るく尋ねました。
「俺達の全。パパンだよ」
「ぜ……。えぇぇぇぇぇっ」
そうです。まさかの大元からのご招待でした。




