65 疑惑で威光 肩書だけでガクブルです
私が身を明かした事で、相手は疑いつつも雰囲気が明らかに一変していました。
「聖女だと言って信じられない事には慣れています。ですが、真実です。騎士団の方々にとっては、たとえ聖女でなくとも無下にはできないですよね。要望通りの補給物資が届いたのですから」
ブツは後ろだと、言葉で言わず、視線を向けて示しました。やっている事はドラマ等で見る闇取引です。
「か、確認する。おい、一覧を持ってくるんだ」
急に仕事モードになって取り繕う騎士団の人達。
(なんだか、普段怠けている集団が上の立場の人が来たから仕事していますとアピールしているようにしか思えませんね)
「あ~、なんか忙しそうだし、俺らも家帰って寝るかな」
気まずさを誤魔化して居なくなろうとする影人間達。
状況的に私が逃がす訳がありません。
「お待ちください、ペラ軍団」
「ぺ、ペラ軍団!?」
薄く厚みの無いのは内外一緒。なので、そう呼んでも差し障りは無いように思いました。
「特にそこのあなた。そのペラペラな体を細く折りたたんで紐代わりにされたくなかったら、誰一人逃げないように言いなさい」
私と最初に会い、お持ち帰りしようとしていた影人間に、感情の無い、死んだ目と表情で言いました。
「ちょちょ、怖い。仮に聖女だとして、聖女のする表情じゃないってぇ。おい、お前達。絶対逃げるなよ。絶対だぞ」
震える影人間の指示に、私は他の影人間達にこう付け加えました。
「振りでは無いですからね」
既に一歩踏み出していた皆に言いました。
恐らく、この場に里長が居たのなら、覇者の衣が出ているとか言われていそうな気がしました。段々と分かってきましたよ。
隣りに居た騎士団の人の方から鎧がカタカタと震える音が聞こえてきましたし。
「要請一覧、持ってきました」
取りに行っていた人が戻ってきました。
「そそ、それでは確認させていただいても?」
影人間とのやり取りを見ていた騎士団の人は、怯え切った表情で私に訊ねてきました。
ここで和ませるために冗談を言ったとしても滑るだけでしょう。
それに、そんな小粋なジョークを持ち合わせてはいないので、考えるだけにして止めました。
「どうぞ。しっかりと確認してください」
「は、はい。この命にかけても!!」
自分達が要請して届けられた物にそこまでしなくても良いと思うのですが……。
さて、騎士団の人の確認が終ってからが本番ですね。




