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聖女の乱進 ~無限の魔力で目覚めました~  作者: 鰤金団
聖女様目覚める
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6 異世界系引きこもり女子の日常

 皆さん、こんにちは。そちらの時間帯は分かりませんが、こんにちは。

 私は今、異世界のエルルート城から中継しています。

 というような脳内設定で時間を浪費中の私です。

 さて、皆さんはこんな言葉を知っているでしょうか?

 女子、三日引きこもれば退屈で暇死する。という格言です。

 ええ、もちろんそんな格言はありません。何せ、私がこの暇つぶし一切無しの引きこもりライフの中で生み出した言葉ですから。

 そんなに暇なら聖女をやれって? やりませんよ。馬鹿仰るのはどこのおバカさんですか?

 暇が過ぎて脳内で一人会話をし続けている私で~す。

 実生活では無口系置物女子をやっていますが、脳内ではマシンガンノーブレーキトーク女子やってま~す。なんて、虚無の極みのような脳内会話を繰り返すのも何度目でしょう。

 ですが、一人でおかしなテンションにでもなってなければならないほどに、やる事がありません。

 マクシタテルンさんとやる気阻害王子との会話からやっと四日が経ちました。

 さっきの格言と日数が合っていないとぼやく人も居るでしょうが、元ネタを捩った格言なのだから、実際の日数なんて意味はありません。ぷぷ、ざ~んねんでした~。

 でも、一番残念なのは、こんな一人遊びをやっている私で~す。

「はぁ、寝よ」

 脳内会話をするのも疲れたので、私は何時もふかふかぐっすり王族ベッドに沈みました。

 最初は寝心地が良すぎて体が拒否反応を起こしていましたが、今ではもう故郷のお堅いベッドでは眠れない体になってしまいました。

 元の世界に戻れるのなら、このベッドだけは持って帰りたいくらいです。

 そう思いつつ微睡んでいると、ドアをノックする音が。誰かが部屋にやって来たようです。

 王子とは顔を合わせるつもりが無いので、面会謝絶にしています。なので、王子では無いはず。

 ですが、相手が相手なので、メイド様に毎度理由をでっち上げてもらっていますが、何十にも包まれた遠回しのお断りをしているでしょうから、直球もとい真意は伝わっていないでしょう。

 そもそも、王子以外とも面会謝絶状態になっているはずです。

 そんな表向きにも遠回し的にも拒絶しているというのに、私を尋ねに来た方はどこのどなたでしょう?

 気にはなりますが、確かめたいとは微塵も思いません。

 因みに余談ですが、私は引きこもり生活を送っていると言っても、一日中部屋の中に居る訳ではありません。

 朝、目覚めたら身だしなみを整えてくれる人がやって来ます。

 その後は朝食です。三食の食事は全てお部屋で済ませています。

 私に用意されたお部屋には、トイレとお風呂がありません。

 なので、トイレと毎日の入浴の時だけはお部屋から離れます。

この僅かな隙間時間で、私付きの皆さま方が、手早く効率的に部屋を整えてくれるのです。

 そのおかげで私は、自分では何もしない自堕落な引きこもりライフを暇死しそうなほど満喫出来ているのです。

 と、一応引きこもりを自覚している私にもこの世界で人との関りがあります。

 ですが、大きな問題があります。

 とても良くしてくれて、お話のネタも提供してくれますが、私には相手の人のに付いて行けるだけのコミュ力はありません。

 あれば元の世界で全方位にお友達がいるような賑やかな日々を送っていて、私のお部屋は空気の循環が出来ずに誇りまみれになっていたでしょう。

 それに加え、基本的にこちらの世界の人とは世間話レベルでも会話が成り立たないのです。

 会話に困ったらこの世界の人は植物に関しての話をするようです。

 ですが、元より植物に詳しくない上に、全く知識の無いこの世界の花がどうとか言われても分かりません。

 ファッションも価値観が違い過ぎる上、この世界のお貴族様が着ている服はきらびやか過ぎて私には合いません。

 そんなに我が儘を言うのなら、自分で話題を振るべきだという声が聞こえてきました。

 ですが、そもそもの話です。私達は言葉が通じるというだけで、私の元居た世界の情報をこちら側に伝えてもまるっきり理解されませんし、反対も同じで私も理解出来ないのです。

 何一つ感心が持てない世界の愚痴を頭の中で転がしていると、またノックの音が。

 返事をするのを忘れていました。諦めずにまだ居るという事は、それなりの用事があるという事でしょう。

 タイミング的に言えばお昼の時間でしょうか。

 ほぼ動く事の無い生活が続いているため、胃の働きが弱くなっているような気がしてなりません。

 料理の味も好みでは無いので、使用人さんにはなるべく重くないものをと頼んでいます。

 お腹は空いてはいませんが、食べなければ使用人さんが叱られる上に、大変なお仕事に加え、要らぬ不安を与えてしまうので、頑張って残さずに食べるようにしています。

 ではそろそろ、料理を持って来てもらいましょう。

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