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聖女の乱進 ~無限の魔力で目覚めました~  作者: 鰤金団
聖女様、運ぶ  
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57 エレナ滞在記 ~隠れ里編~

 家族の皆。私は今、忍者っぽい存在の人達が暮らす隠れ里に居ます。

 ここならとりあえず追手を気にする必要が無いので、少しゆっくりできるでしょう。

 もしも追手が来た時には、里の周りにある大木を倒して回って道を塞いでいる間に逃げるだけです。

 と、届きもしない家族へのモノローグでした。

 では、現実に戻るとしましょう。私は今、確かに隠れ里で過ごしています。

 そこでは聖女様として扱われ、とても良くされているかと思いきや、何故か里の人と連戦組手をさせられています。

 里の人からのお願いという事で、立ち寄らせてもらっている身としては断り切れませんでした。

 エリンナの説明によると、体力を使い果たして倒れるまで続くという中々に恐ろしい戦闘訓練方法だそうです。ですが、私の体力が尽きないため、休みなく挑まれ、挑んでくる人が居なくなるまで終らないという連戦と言うよりも無限組手と呼ぶ方が良いような、別の修行になっていました。

 このような訓練をするのなら、負荷魔法が使える人とお城でやっていた特訓をやりたいと思いましたが、私は戦いに関しても素人です。

 全てを真似出来るとは思っていませんが、どのような体の動かし方をしているのかくらいは見る事が出来ます。

 筋トレよりもモチベーションは下がりますし、最強になりたいという格闘家のような夢がある訳では無いのですが、今後に生きるかもしれないので、ここ数日は参加しています。

「エレナー」

 エリンナの私を呼ぶ声。何かあったのでしょうか?

「はい。どうしました?」

 私は、目の前に広がる力尽きた里の人々に一礼し、エリンナの元へ行きました。

「里長が呼んでるんだけど、少し休んでからにする?」

 私の背後に視線をやり、尋ねるエリンナ。

「いえ、汗を掻くほどにもなっていないので大丈夫ですよ」

 感覚的にはストレッチをしたくらいな感覚でしょうか。運動で疲れたというよりも、ただ起き続けているので時間的に眠気を感じている状態です。

「エレナが汗を搔くくらい動いたら、里が無くなりそうだわね」

「流石にそれは無いですよ。ただ、里が回らなくなると思います。この組み手の参加者が増える事になるでしょうから」

 里の人全員が組み手を希望している状況だったので、グループ分けをしてもらったのです。

 その結果、一グループだけでは二時間持たず、二グループ、三グループと増え、回るようになってからは、そのグループが纏まり、一つのグループになって、日替わりで戦っています。

 里の人の動きを見て学ぶという目的が無ければ、里に居る人全員と組み手をする事になっていたでしょう。

「ほんと、今までの訓練が何だったのか……」

「そんな遠い目をする必要はありませんよ。負荷魔法と回復魔法の使い手を連れてくれば、私のようになれますから」

 遠い目をするエリンナに、励ましの言葉をかけました。

「え、あ、うん。やり方は教えてもらったけれど、それが出来たのはやっぱり、聖女様の力だと思うんだよね」

「そうですか? 最初の方は回復用とシェマク用の人が必要だと思いますけど、すぐに育ちますよ?」

 アワーフレッタさんがそうでしたので、頭数が揃っていれば良いだけです。言ってしまえば、最初が一番面倒なだけです。私のような無限の魔力が無いので。

「育つかなぁ? いや、育てて良いのかなぁ?」

「物語的な展開を考えると、この後は極悪非道な組織になって世界征服に乗り出しますよね」

「え、何々? エレナの世界だとそういう感じのお話があるの?」

「ありますよ。その後、どの目線で見るかで物語の内容が変わってきます」

「それはとても面白そうね。話を詳しく聞かせてもらおうか」

 酒場辺りで気になる情報を耳にしたから声をかけた、というような感じでエリンナが乗ってきました。

「いいぜ、お嬢ちゃん。場所を変えようか」

 私も乗っかり、お茶とお菓子を用意して、時間を忘れて盛り上がりました。

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