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聖女の乱進 ~無限の魔力で目覚めました~  作者: 鰤金団
聖女様と深まる謎
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49 誤解の無い紹介 伝わらない言葉

「はは、では、そうしましょう。エリンナ、このお嬢さんは面白い事を言う人だな」

 トロンさんは理解したと、言葉遣いをすぐに直してくれました。怒られないで良かったです。

「さっきも話しましたけど、これで一般人だと言い張ってるんですよ。ほんと、あなたのような一般人が居るか!! って思うんですけどね。本人は本気なんですよ」

 明らかに良いようには話していない雰囲気を感じ取りました。

「エリンナ。あなた、どのような説明をしたんですか?」

「お、調子が出てきたね。いきなり無表情になるから驚いたんだから」

「初対面の人に緊張するのは当然の事です。それより、私の説明をどのようにしたんですか?」

 過剰に盛られては困ります。なので、しっかりと確認しておかなければいけません。

「事実しか言ってないって。私と渡り合う上に、気付かれずに扉の金具を壊して、扉を軽々と持って動かすような怪力の持ち主」

 間違ってはいませんが、もう少し優しさを混ぜ合わせて欲しいものです。なので抗議しましょう。

「そんな説明をされたら、私が人外のようではありませんかっ」

「いやさ、実際にね、私ん所でも音を出さずに金具壊すなんて芸当が出来る人居ないし。団長だって扉を持ち上げられないから」

「確かに、身一つで気付かれずに動かすのは無理な大きさだったな。そもそも、城から誰にも気付かれずに抜け出した時点で俺達は驚いていた。実際、どうやったんだ?」

「あ、私も知りたい。あなたの部屋って、結構な高さだし、城内は警備や護衛も待機していただろうから、抜け出すのは至難の業だったでしょ?」

 秘密部隊の人間として興味があると、二人の視線。

 この流れは私にとって、とても都合が悪い。そんな空気を感じていましたが、言わずに終れる状況では無さそうです。

「特に何もしていませんよ。窓から飛び降りただけです。着地前に鳥の羽ばたきの真似事をして勢いを殺して着地しただけですよ」

 正直に話しました。

 すると、二人は何も言わずに互いの顔を見合わせていました。

「ははは」

「あっはは」

 突然笑い出す二人。怖い、怖すぎます。

「あの、言葉でやり取りして頂けると嬉しいのですが……」

 二人だけが分かる、いえ、秘密部隊の人間だけが分かるやり取りをされているような気がして、私は言いました。

「あなた、本当に言葉にして欲しいの?」

「いくら俺でも、恐れ多くてセントレディ様に言えませんよ」

 分かってきました。お城から飛び降りた事がありえないと言いたいのでしょう。

「言いたい事は分かりました。ですが、魔法を使えば高い所から飛び降りるくらい、造作も無いですよね?」

 魔法無しだったから驚かれたのでしょうと、私は思いました。

 私の発言に、二人は無言で見つめ合いました。

 少々の間の後、二人は同時にこちらを見ました。

「そうね。魔法無しで、なんて無茶だもの」

「ああ、そうだな。人間、出来ない事ってのがあるものさ」

 間が気になりましたが、やはり驚かれたのはその点だったようです。

「所で、あの人攫い組織は今後どうなるのですか?」

 先ほど、エリンナ達はここを出ると言っていました。

 それならば、組織の人間も一緒でしょう。

「ああ、それなんだがな……」

 トロンさんは深刻そうな顔をしていました。正直、外見の事もあるので、その様な表情をされると小市民としては怖いです。

「団長、顔。自称一般市民さんが震えあがっていらっしゃるので」

「おっと、これは失礼した。いや、セントレディ様に挨拶のついでに確認したい事があったんですよ」

「怖い顔になるほどの問題があったのですか?」

「問題と言えばそうなんだが……」

 歯切れが悪いです。よほどの問題なのでしょう。

 随分と言い淀むトロンさん。代わりにエリンナが教えてくれました。

「少しでも被害者の救出を速めようとしたんだけど、被害者が居なかったのよ」

 エリンナは何を言っているのでしょう。

 私とエリンナは、現に攫われていたではありませんか。

 発言が理解出来ずにいると、彼女は補足してくれました。

「あのね、被害者は居なかったんだけど、加害者は居たのよ。連れ去られた人達は皆、人攫い組織の一員になっていたの」

「そ、それはあれですか? 洗脳魔法で意のままにグヘヘするタイプですか?」

「ぐへへ?」

 あ、伝わらないタイプの表現だったようです。

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