34 旅立ち さよならは偽名と共に
「では、私もそろそろ行こうと思います。後の事は、近日中にやって来るでしょう王国の人に任せてください」
「ああ、分かった。でもな、もう一度確認するが、罪人じゃないんだよな?」
「ガイは疑り深いですね。もし罪人なら、お金や食料を全て持ち去っていますよ。村の人全員を死ぬほど深く眠らせて」
わざと怖い表現を用いたのは、その力を持ちながらもしなかったという点で信頼してもらおうと思ったからです。
「俺達がやられた時点で、彼女ならそれが出来たんだ。だから、信じよう。それと、もし騙されていたら、騙されていた。聞いた姿とは違ったで押し通そう」
カンの言い回しにも慣れてきました。
「そうそう。そうしてください」
また、カンの提案通りにすれば、重罪とはならないでしょう。
「なんかさ、色々とあったけれど、あなたが来てくれて良かったよ。ありがとう。ええっと……」
そう言えば、三人の名前は知っていましたが、私が名乗る事はしていませんでした。
ここは名乗る場面だとは思いますが、それではより早く追手が本人確認を済ませてしまいます。なので、偽名を使いましょう。
「私の名前はセントレディです」
「栓が取れないの? あなたにしては、随分ひ弱な名前ね」
むむ、この世界の人の名前を参考にしてみましたが、違う意味に受け取られてしまうとは……。
「いえ、栓が取れないではありません。セントレディです。区切ったりせず、一息で呼んでください」
「分かった。セントレディ。これで良い?」
「はい、大丈夫です。それでは、もう行きますね」
「うん。じゃあ、また何時か、ね」
「はい。また何時か」
私はモンとの会話を終わらせ、歩き始めました。
「道沿いに行けば、迷う事は無いからなー」
ガイが大きな声で私に、確認とばかりに大きな声で情報提供してくれました。
私の鍛えていない喉では、三人に届く声は出せなかったので、全力で手を振りました。
頭上に浮かんでいた雲が散り、快晴へと変わりました。
今後の旅を祝福しているかのようでした。




