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聖女の乱進 ~無限の魔力で目覚めました~  作者: 鰤金団
聖女様と突撃豪邸訪問
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33 裏切りの館 村人編

「ここに居れば美味い飯が食えるんだ。邪魔すんなっ」

「もう白パン以外のパンじゃ顎が持たないのよ」

「干し肉を一日中食む生活に戻すつもりか、邪悪め」

「この屋敷に居たら、気分転換で野菜を作っていれば良いだけなんだよ。出稼ぎは両親に任せるだけで良いんだから」

 大パノラマで聞こえる現状維持を求める声。声。声。

「三人とも、これは!?」

 モン・ガイ・カンに、話が違うと尋ねると、三人も信じられないという表情。

 どうやら彼ら三人は騙されていたようです。

 実は、子ども達も村民の共犯だっただなんて……。

「お、俺達は……。俺達は……。何を守っていたと言うんだ?」

「馬鹿め。お前達は次の出稼ぎ組だ。贅沢を覚えさせる意味など無い」

 ガイの動揺に村長の追い打ち。

「そ、そんな……。それじゃあ、私達。馬鹿みたいじゃない」

「みたいじゃない。扱いやすい馬鹿だったんだよ」

 モンにも更に一石を投じる村長。

「俺達は、ずっと税に苦しめられていたと思っていたのに……。だから、少ない食事でも耐えていたと言うのに……」

「食費も維持費もかからない、最高の門番だったよ。お前達は」

 怒りに震えるカン。その姿が面白いと嘲る村長。

 いきなり襲われ、少し前には仲間じゃないとも言われたりもしましたが、これは許せません。

 今ここで筋肉を使わずして、何時筋肉を使えば良いのでしょう。

 今の私なら、この村長達を手痛い目に遭わす事が出来ます。

 もう言葉は不要なのです。ここからは筋肉の時間です。

「もう我慢できません。あなた達を無力化します。十把一絡げにしてあげましょう」

「どれだけ頭がおかしかろうと、村の子ども全員を相手になど出来るものか。さあ、行け。子ども達よ」

 村長の私兵と化した子ども達が一斉に私に向かってきましたが、遅い。遅すぎます。

 モンよりも遅い速度で私の動きを封じようとしている様は笑いを禁じ得ません。

 あっという間に子ども達を捕まえ、軽くGを加えて失神させました。

「どうしました? 子ども達は皆、お寝んねしましたよ」

「な、何ていう奴だ。頭がおかしいだけじゃない。お前、何者だ?」

 私について聞かれたのは何度目でしょう。ですが、答えは決まっています。

「普通の女子ですよ」

「お前のような女子など居るか!! モンを越えているんだぞ。常識で考えろ」

 私は何時も、常識の中で生きているので、村長の言葉は侮辱でしかありません。

「言いたい事はそれだけですか? さあ、そのお腹の脂肪。たっぷり絞らせてもらいますよ」

 一歩一歩をゆっくりと踏みしめ、村長へと近付きました。

「よ、止せ。止めろ。止めるのだあぁぁぁぁっ」

 私が近付くのを、腰が抜けた村長は、声だけで抵抗していました。

 私は、子ども達にしたように、彼の余分な重りが付いた体を回しました。

 すると彼もまた、眠ってしまいました。

「さあさ、終わりましたよ。三人とも、縛る物を持って来てください。その後は悪事の証拠を探しますよ」

 私がそう言いつつ寝ている人達を纏め始めていましたが、三人が動きません。

 先程の事を受け止めきれていないのでしょう。

「三人とも。そうやって落ち込んでいても意味がありませんよ」

「意味が無いって何だよ」

 ガイの言葉と三人のキツイ視線が私に向けられました。そうなる事を考えての発言でなければ、私は布団に包まるか、怖くて震えていたでしょう。

「先ほど三人が言われたのは、自分達が良い暮らしをしようと欲に溺れた人達です。彼らは、自分以外の相手に都合良く役目を押し付けていたのです。ですが、出稼ぎに行っている大人達は言うでしょう。『私達が居ない間、よく子どもを、村を守ってくれた』と。あなた達は、大人の代わりにたった三人で村を守り切ったんです。私も含め、大人達はあなた達を称える事でしょう」

 今日初めて会った同世代の相手が偉そうにこんな事を言ったら、三人が更に怒るかもしれません。ですが、別の見方もあると知ってもらいたいと思いました。

「へっ、頭のおかしい奴が、何照れ臭い事言ってんだよ」

 ガイが意外とチョロかったです。

「確かに、俺達を道具のようにしか思っていなかった奴らの言葉を引きずる必要は無いな。常識無いのに良い事を言う」

 余計な一言が無ければ、カンの言葉にも素直に頷けたというのに……。

「私達、村が駄目になるのを防げたんだよね。私達ってもしかして、英雄って奴じゃない?」

 その前向きな発言はとても大事です。

「そうですよ、モン。人知れずではありますが、三人は英雄ですよ。だから、村を守った事に胸を張ってください。そして、彼らは緩めず、縄できつく絞めてください。抜け出せないように」

 私の言葉を受け、三人はそれぞれに返事をしました。

 これで三人が道を踏み外すような展開は回避出来たと思います。

 その後、私達は村長の屋敷を巡り、村ではお祭りの時くらいにしか食べられないというごちそうを片手に家探しをしました。

 すると、隠し部屋を発見。

 その部屋の中で、後ろめたい悪事の証拠や貯めていたお金を発見しました。

 証拠だけ纏めて、お金は今後の旅の資金に僅かばかり貰う事も考えました。

 ですが、私にとって初めてのお城以外の場所がこのような有り様だと思うと、この先に立ち寄る場所では、お金はスプーンの代わりにもなりはしないほどに無価値な存在になっているのではと、不安が過りました。

 それに加え、道中で三人のように話を聞いてくれない相手と出会うかもしれません。

 その時にお金なんて持っていたら、不必要な戦いに巻き込まれるかもしれません。

 という理由から、私は見つけた物に手を出すのは止めました。

 私に出来る事は全てしたはずです。

 お腹も満たされたので、私は追手が来る前に村を出る事にしました。

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