27 正座の時間 さあ、問題です
「お、俺は何を……?」
意識を取り戻したガイは、ゆっくりと体を起こし、記憶を探っていました。
「……長い、長い眠りでしたね」
まだ記憶が曖昧な彼に、私はそう声をかけました。
「なっ!? お前はっ!!」
「私を覚えているのですか!?」
「当たり前だ!!」
残念です。私を見て咄嗟に身構える当たり、まだ戦う気力も残っているようです。
「あなたが眠ってから、どれほど経ったでしょう。その間にモンとカンは……」
ただ顔を覆い、彼から背を向けました。
「え、ど、どういう事だ? モンは? カンは?」
取り乱すガイ。
「私のお話を聞く気になりましたか?」
「あ、ああ。聞く。聞かせてくれ」
やはりお仲間の事は心配なようです。話し合いを持ちかけた時とはまるで違う反応です。
「そうですか。では、振り返ってください」
「後ろ?」
何があるのかと警戒しつつ振り返るガイ。
彼の視界に飛び込んできたのは、先に起きていたモンとカンの元気な姿です。
「お、お前らぁっ。生きてやがったじゃねぇか。このやろうっ」
喜びで涙ぐむガイ。
「お前こそ、何時まで寝てんだよ。寝坊助野郎」
「もう、大変だったんだからね」
二人も、ガイの目覚めを心待ちにしていたと、もらい泣きしていました。
うーん。とても良い光景です。ですが、三人揃ったのなら、私の時間です。
「それではモンガイカンのお三方。今から私の話を聞いてください」
悪役のような振舞いをするつもりはありませんが、私次第で彼らはどうにでもなるという事は既に経験済み。なので、彼らは警戒しつつも攻撃をしようとはしていません。
私の呼びかけに、三人は顔を寄せ、小声で話し始めました。
「おい、なんか急に仕切りだしたぞ、こいつ」
「仕方ないじゃない。負けちゃったしさ」
「それより、一纏めに呼ばれたっぽいんだが……」
ですが、しっかりと私の耳には届いていました。
話が進まないので、ここは強引に行きましょう。
「ええい、正座っ!!」
気分は教師です。
「せいざ? なんだそりゃ」
本当に分かっていないという反応。どうやら、この世界では正座という座り方は無いようです。
「正座。それは、身を正し、しっかりと話を聞くための姿勢。座り方です」
と、正座の指導から、私の話は始まりました。
「では、まず初めに、あなた達にこれを理解してもらう必要があります」
「そんなに大事な事なの?」
モンが私に尋ねました。
「ええ、とても大事です。同性なら分かりますよね?」
「え、ええ!? なんだろ。……私は女です?」
同性と強調したからその答えが出たのでしょうが、違います。
「分かりませんか? 私側だったら分かるはずです。ほら、私達は?」
「人間です?」
そうだけど、そうじゃありません。そこも正すべきところではあるんですけど……。
「私達、女の子。……女の子? モンさんはもしかして、大人ですか?」
三人組の年齢が私よりも上なら、言葉遣いとかを気を付けた方が良いかなと、今更になって思い、尋ねました。
「大人に見える? へへ、やった」
大人に見られて喜ぶ所を見ると、私よりも年下な気がしてきました。
「俺達は皆十七歳だ」
あ、良かった。同い年でした。それにしても、モンの体格が良すぎて、同い年とは思えません。
先程襲われた時の事を思えば、私の筋肉は彼女よりもムキムキでなければおかしいと思うのに……。
身体能力ばかり伸びて、私は何時メリハリボディになるのでしょう。




