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聖女の乱進 ~無限の魔力で目覚めました~  作者: 鰤金団
聖女様、時満ちる
23/112

22 戻る人 送る人

「アワーフレッタさん」

「どうしました、聖女様?」

 何時もの魔力切れをシェマクを使い、アワーフレッタさんを起こした後です。

 私は、慣れた足取りでポジションに戻ろうとする彼女を呼び止めました。

「私達、訓練を初めて何日目になりましたっけ?」

「……四日目ですね」

 彼女の声のトーンが下がり、視線は遥か彼方を向いていました。

 没頭していたので私は気にしていなかったのですが、私達は四日間もの間、一度も部屋へは戻っていません。

 私は汗の臭いが体に染みついています。アワーフレッタさんの体は土の匂いが染みついていました。

「訓練はこれくらいにしましょうか」

 振り返れば、元の世界の衛生観念的に酷いと思いつつ、言いました。

「ほ、ほほ、本当ですか!? 私、人に戻れますか!?」

(人に?)

 訓練を始めてから今まで、ずっと人以外になった覚えは無かったので、気になりました。

 ですが、その事について確認する時間はありません。

 何せ、私の今の言葉をずっと待っていたとばかりに、私の言葉に嘘偽りが無い事を確認するため、迫ってくるアグレッシブアワーフレッタさんが居たからです。

「ええ、一日、お休みにしましょう」

 そんな彼女の勢いに水を差す事は出来ません。私は笑顔で彼女に宣言しました。

 すると、彼女の表情は、新品の電球のように明るく輝いていました。

「はい、休みましょう。人間、不眠不休で動くものではありません。私、今回の事でそれをとても理解しました。実感しました」

 魔力切れで寝ていたし、それで休んでいたというのに、一度も休息を取れなかったというような発言が気になります。

 ですが、今の彼女はきっと、解放感で一杯なので、表現も大袈裟になっているのでしょう。

「それではごきげんよう。アワーフレッタさん」

「はい、聖女様」

 私を見る目を聖女に向けるものに戻し、歩き出すアワーフレッタさん。

 長々と会話で引き留めるつもりは無いので、こんな簡素な別れで良いでしょう。

 ご機嫌に去っていくアワーフレッタさん。

 私は、その背中が見えなくなるまで見つめ続けました。

「あなたなら、きっと良い後任を育てられますよ」

 誰の耳にも届く事の無い、彼女へのエールを送り、私も自室へと戻りました。

 その後、溜まった汗を流し、食事を頂きました。

 回復魔法のおかげで、不眠不休で動けていましたが、やはりこの世界のベッドは素晴らしく、秒で眠る事が出来ました。

 自覚の無い疲れもあったのでしょう。生涯で一番早い睡眠でした。

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