20 禁断の報酬
魔力切れを起こしたのなら、魔力を送り込めば良い。
とても簡単で、とてもシンプルで、とてもスマートな方法ですよね。
繰り返しますが、魔力切れを起こした人を起こすには、それがもっとも効率的で効果的な起こし方になりますから。
「ゴッファッ」
そんなお手軽で時短な気付けは、とうの昔に三桁を越え、アワーフレッタさんの目覚めの声も聞き慣れた日常の音になっていました。
「目覚めましたね? さあ、始めましょうか」
私は彼女が目覚めると、決まってそう声をかけるようになっていました。
「今回は大分持ちましたね。また耐性が上がりましたか?」
アワーフレッタさんも何度も噴き出し起きしたので、反応も冷めたものになっていました。
「次は、アワーフレッタさんも上げてみましょうか」
「そうですね」
互いに慣れ、必要なやり取りだけを行い、それぞれの立ち位置に戻っていきます。プロ同士のやりとりっぽいとちょっと気に入っています。
さて、この訓練の一連の流れ。何も知らない第三者に目撃されたら、私が聖女という立場を利用し、異世界人を苛め倒していると受け取られても仕方が無いでしょう。
ただただ愉悦のためにこのような事をしている訳ではないのです。
私利私欲、ストレス発散の為に行っている訳では無いと、はっきりさせておきましょう。
この訓練は、ちゃんとアワーフレッタさんにも恩恵があるのです。
一つは、聖女様を鍛え、鍛えられたという箔が付きます。
苦難を乗り越えた強い絆があると思われるという副産物も付いてきますね。
二つ目は、私のシェマクで彼女の魔力量が増えました。ついでに彼女の体と精神面も鍛えられています。何せ、強引に起こされ続けているのですから、並な心では到底もたないでしょう。
体はついでにといった感じです。
三つ目は、負荷及び状態異常系の魔法の熟練度の上昇です。
どうです、ちゃあんとアワーフレッタさんに三つのメリットがあるじゃないですか。
私はこれを勝手に聖女ズブートキャンプと、表現が合っているのかは置いておいて、名付けました。
唯々、結果的に傍目では酷い事をされているという認識になっているだけなんですよ。
二人での訓練が続き、高威力の負荷魔法の中でさえこのような誰に向けての自己弁護か分からない言い訳だって出来るようになりました。
それにしても、まさか魔力を渡すと相手の魔力が増えるだなんて……。これは完全に予想外でした。
私でさえ驚きだったのですから、アワーフレッタさんなんてもっと驚きですよね。




