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聖女の乱進 ~無限の魔力で目覚めました~  作者: 鰤金団
聖女の帰還
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93 よりまし その正体

 まさかの情報に、私は驚愕していました。

 神がマゾヒストだっただなんて。

 いえ、この表現では神全てがそうだと、全世界の神様への風評被害が酷い事になりますね。

 改めて訂正しましょう。この世界の神がマゾヒストだったのです。

 ふぅ、これで他の世界の神様の尊厳は守られる事でしょう。

 ……などと言っている場合ではありません。

「さあ、次はどのようにして楽しませてくれる? 久方ぶりの愉悦なのだ。この程度で終ってくれるなよ、聖女よ」

 いえ、この程度で終わらせたいです。

 のっぺらぼうは外見なのに、少年のような輝く瞳でこちらを見ているのが分かります。

 神の持つ特殊な癖を知った途端、私の心のメーターが限りなくゼロに近付きました。

 これを回復させるにはどうしたら良いのか……。

(そうです。辛い時には良い事を。やる気が無い時には目的を思い出すんです)

 私がここへ来た目的。それは元の世界に戻る事。一番大切で重要な事です。

 あの大陸で生涯過ごすつもりはありません。それに、もう邪悪なるものも生まれないでしょう。だから、私が残る理由は無いのです。が、ふと疑問が生まれました。

(この神が居て、本当にもう生まれないのでしょうか?)

 神が裏切る、というような事は無いと思いたいのですが、口約束だけでは信じられません。

 ここで例えば「もう邪悪なるものが生まれない世界にして♡」「オッケー、了承♪」なんてやりとりをしても、目の前に居る神の振る舞いやら言動やらのせいで、神が人々に与えるべき絶対の信頼というものを感じられません。

(ここは、戦うしかないのでしょうか?)

 神と悪魔のラストバトルや神対人の存亡を掛けた戦いなんて展開はよく見ましたが、まさか神対聖女という組み合わせで、私が当事者になる日が来るだなんて、思いもしていませんでした。苦悶の表情で、視線を神に向けました。

「物理も可」

 満面の笑みを浮かべているような雰囲気を放ちつつ、神は言っていました。

 痛みも受け入れると表現すれば聞こえは良いかもしれませんが、何処で目覚めたのか分かりませんが、快楽に感じているんですよね……。

「ええぇ……」

 これほどまでにドン引きする展開になるとは思ってもみませんでした。

 良くて対話。悪くてバトル。そう思っていたあの頃が懐かしい。

 何故ここに来てSMをしなくてはいけないのでしょう。

「そうか。対する存在が神である故に躊躇しているのだな」

 何か、気付いたような事を言う神。躊躇では無く、引いているだけなのですが……。

 この神、人の心を読めるというのに、何故こういう所で鈍感系主人公みたいな事をやっているのでしょう?

「その疑問に答えよう。全てを知る者でも、全てを知らぬ方が良い時がある方が良いからだ」

 深淵を覗いたら自分も覗かれているみたいな感じの事を言われても、求められている事を思えば、感じ入れません。

「さあ、そろそろ良いだろう? そろそろ物理的な刺激も欲しいのだ。そろそろ堪えられなくなりそうなのだ。そろそろ来るだろう? そろそろ来るのだろう?」

 放置プレイも大概にして欲しいと、そんな要望、圧を感じました。

(やりたくないなぁ……)

 歴代の聖女様は、こんな神と対峙してきたのでしょうか? よく聖女としての体裁を保てたものです。私なら、こんな変態が神だったと知った瞬間から聖女としての振る舞いをするのは辞めていたでしょう。

「ああ、もう駄目だ。何故、あの時のように気持ち良くさせてくれない!? これならば、最初に夢を見たあの娘を呼ぶべきだった。いや、今からでも遅くない。私を震わせたあの娘を今からでも連れてこよう」

 堪えられなくなったと、神は私が入ってきた亀裂に手を伸ばしました。

(誰かを連れて来るつもり!? そうはさせません)

 こんな変態は人目の届かない所に、触れない所に置いておくのが一番です。

 太い腕を両手で掴んだ私は、一回転させてから投げました。

「良い重力だった」

 危ない笑いをする神。私は、とうとう手を出してしまったと、後悔です。

「さあ、ここからは皆に見せようか。神と聖女が共に奏でる夢の一時をっ!!」

 今度は何をするのかと思っていたら、足元が透け始めました。

 ガラス張りの床よりも怖い透明度。亀裂との境も分からなくなり、恐怖を覚えました。

「君がスカートだったら、見えていたねぇ。下着」

 ニチャァと笑っているような雰囲気。これは私を煽っているのでしょう。

「あの時のように心を満たしておくれ。この胸の高鳴りを忘れないように!!」

 ラスボス的な発言。地上に何かしようとしたならば、神的なご褒美が貰えると学習してしまったので、ここからは手を出さないという選択肢は無いでしょう。

 こうなってしまっては、やらざるを得ません。

「あの時、あの時って、何時の事を指しているのですか?」

 直接は感触が嫌なので、風圧で殴りに行きました。

「なんと、忘れている? いや、それも止む無い事か。気付かないのも無理はない。あの時は借りた体であったのだから」

(……借りた……体?)

 何を言っているのでしょう? おそらく、検索のための単語は全て出ているのでしょう。ですが、全く引っかかりません。

「二人揃わなければならないのか? なればやはり連れてこよう」

 再び亀裂へを目指す神。

(やっぱり地上の誰かを……。いや、待って。二人揃って、片方が地上にって……)

 分かってしまえば簡単で、逆にそうだとしか思えなくなりました。

 ここまでヒントを出されても、分からない時は分からないものなのでしょう。

「……あの屋敷に居たその道のプロ。それがあなただったのね」

 一人だけ言動おかしく、入ったばかりで雑用しかさせてもらえていない下っ端に怒られていた、あの人攫い組織の副長です。

「ようやく気付いてくれたね。感動に我が身が震えているぞ。さあ、思い出したのならばどうすれば良いか分かるだろう? 改めて再会の一撃をっ!!」

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