Case.1「青色の少女」
掲載日:2023/06/06
少女は、白色の中で目覚めた。
何もない白色には四角い枠が一つだけ。
少女は、その枠から抜け出した。
そこに広がるのは、抱えきれないほどの青色と緑色だった。
少女は緑色に触れた。優しい手触りの中から心が躍るそんな匂いがした。
少女は走りだした。
走って、走って、走って。
この緑色の上でならいつまでも走り続けられた。
少女は寝転がった。緑色は優しく包んでくれた。
寝転がって目に映ったのは、どこまでも広がる青色だった。
少女は青色を走りたくなった。
青色を走りたいと、いつまでもいつまでも緑色を走った。
だが、少女が青色に触れることはなかった。
それでも、少女は青色を走りたかった。
走って、走って、走って、走って、
走ったその先には
青色に混ざった灰色が見えた。
灰色には入れる場所があった。
まるで少女が抜け出したあの白色の枠のように。
足を入れた灰色は、上に登ることができた。
灰色の頂上には広げた場所があった。
そこはどこよりも、どんな場所よりも、
青色に近い場所だった。
少女は思った。
この場所からなら、青色に走り出せると。
少女は走り出していた。
躊躇うこともなく…
ただ、ただ、
青色を走ることだけを考えて
青色を走った少女は、
緑色を赤色で汚した。
青色を走った「赤色」は
もう走り出すことはなかった。
その「赤色」は、微笑んでいた。




