罰と約束
「かわいい後輩に首噛まれた。
ヒートヤバくなって苦しい時に助けてもらった。
合意はしてない。けど、重い罰受けてほしくない。」
携帯端末の音声入力で兄にメッセージを送った。
「ひーちゃん、しばらくお休みします。働きすぎてスリープモードになっています。」
兄にメッセージで相談したら、代わりに義兄が返事した。
「修一君の罰は被害者の君が決めてください。僕たちの判定では難しい」
義兄は何やら酷い打ち間違いをしている。
まるで自分達が判定AIのような書き方だ。
義兄の方も相当疲れているようだ。
そのメールの後、生徒一斉送信であるメッセージがきた。
「重要:もうすぐ、リゾート区から居住区に戻ることができます。テロ組織を凍結隔離しました。」
重要な情報らしく携帯端末のホログラム機能で表示された。
やった学校に帰れる。
文化祭は学校かな。
俺は今、自分の部屋のベットに横になっていた。
修一が立てない俺の代わりに水の入ったペットボトルを持って、部屋に戻ってきた。
起き上がり、ペットボトルをもらう。
「俊仁、やっぱり自分は罰せらるべきです。」
「修一、君の罰は俺が決めていいようだ。」
俺は端末のメッセージを修一に見せる。
修一はメッセージを覗き込む
「君への罰は君は俺を囲い込まない、縛らないこと。そんな状態で俺のことを守ってね。」
「どういうこと」
虚な目で、俺を見る。
「俺は誰かと番になることがすごく怖くて嫌だった。
だって、アルファはすぐに大切なものを誰の目にもつかないようにしまいたがるだろ。
それが嫌だ。」
「わかった。自分は俊仁を囲い込まない。縛らない。
我慢する。しっかり守る」
「それと俺は修一のことは好きだから」
修一は虚な目から驚きと希望が入った目に変わる。
「こんな状態で言うのあれだけと番されたことには文句はない。責任を持って、自由に動き回る俺をしっかり一生懸命守ってね。」
俺が念押しするように言った。
「はい。一生護ります。」
修一はそう言って、俺の左手をゆっくりと手に取り、手首に優しく口付けをした。
読んでくれてありがとうございます。
投稿したあと、『二度目の邂逅 結 登校時に話しかけられる。』が抜けていることに気づきました。
ライオンマスクになった詳細が書かれています。