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日本民間信仰研究部〈妖怪発見交流部〉

作者: Penguin

1年前くらいからなぜだか分からないけど、見えてはいけないものいわゆる幽霊とか妖怪って呼ばれる者たちの姿が見えるようになった。まあ、だからと言って何かが変わるわけでもない。そもそも彼らは、明らかに人間と違う姿をしているものが多く、はっきり言って見間違えて話しかけちゃうみたいなこともないし、日常の中にものすごく多く存在しているというわけでもないから困ることはなかった。そもそも学校に行く以外で殆ど外出をしない出不精な俺は特に影響を受けなかった。中学校には異質な存在はいなかったし。

 しかし、高校生になり、クラスを見渡した時はあやうく変な声をあげそうになった。まず、後ろの席の糸目のちょっとチャラそうなイケメンな男に話しかけられて後ろを振り向くと、そいつの頭に狐耳が生えてるし、隣の席の美人な女の子はなんか額から角が生えていた。しかも、席は近くないものの、俺のクラスには把握しているだけでも、こういった異質な存在が5人はいるのが分かったときに、大した反応も見せずにやり過ごして見せた俺のポーカーフェイスは褒められるべきだと思う。


「はぁ、なんでこれまでそんなに大勢はいなかったああいった存在にいきなり5人も出くわすかねぇ。俺のクラス25人だから5分の1が人間じゃないクラスって逆にすごいな。面倒だけど、変な反応しないようにするためにも、トイレ行ってる風とか装いながらこの学校に存在する怪異の数を把握するとするか」


 こんなテンションで、通うことになった高校の怪異の数を数えていると、気が付けば梅雨の時期に入りかけていた。ちなみに今のところ把握している怪異の数は同学年で14人、先輩たちは2年に3人、3年に1人だった。いやいや、俺らの代の怪異率高すぎだろ。しかも、7クラスあるうちの5/14が俺のクラスっておかしいだろ。


「夕陽!私新しいクラブ作ろうと思うの!それでね、夕陽はクラブに入ってないでしょ!お願い、私が作るクラブに入って!」


 人づきあいもしゃべりもはっきり言ってあまり得意じゃない俺に小学校のころからずっと仲良くしてくれており、クラスもなぜかずっと一緒である幼馴染で親友である皐月陽菜が良くわからないぐらい高いテンションでクラブ勧誘をしてきた。ちなみに彼女は人間だと思う。怪異によく見られる見た目に変わった特徴はないし、特別身体能力が高いとかそんな特徴もないし。


「別にお前の作るクラブに入ることはいいけどさ、何のクラブか言ってくれないと流石に判断しかねるぞ。お前が考える事っていっつも何か突拍子もないことが多くてめちゃ疲れるし」

「大丈夫!今回私が考えたクラブは日本の文化について研究するっていうすごく真面目なやつだから!」


 陽菜のこのテンション的に彼女がそんなつまらない内容のクラブをわざわざ立ち上げるわけがない。絶対に裏があると思った俺は陽菜に疑いの目を向けながら尋ねる。


「で、本当にすることは?絶対そんなお堅いクラブじゃねぇんだろ?」

「いやぁ、やっぱり夕陽には気づかれちゃうかぁ。実はね、この前私見ちゃったの。家から帰っている途中にいわゆる妖怪?とかそういうやつを!たまたまなんだけどね、いつもとは違う通学路で帰るのもありだと思って、寄り道してたらね、顔とかは見えなかったんだけどさ、暗い細道にうちの学校の制服を着た女の子が入ったのが見えたからこっそり着いていったんだけどさ、そしたらさぁ、その子が暗い影にゆっくりと沈んでいくのが見えたのよ!あれは見間違いじゃなかったわ!絶対に何かの超能力か人間じゃない存在が使った力のはずよ!そういうわけだから、表向きは日本の文化である妖怪について研究しつつ、フィールドワークをしてこの学校にいるはずの特別な存在を見つけ出したいのよ!」

「はぁ、まあお前がすごく興奮してんのは分かったけど、実際本当にそういった存在がいるとして見つけてどうするんだよ。」


 俺は、彼らの存在を判別できる特殊な目を持っているものの、彼らとは可能な限り近づかないようにしてきた。これは、単に面倒くさいってのもあったが、彼らも一般人に異質な目で見られたくないからこそ人に化けて紛れ込んでいるのだと思ったからだ。


「それはもちろん!友達になってもらうためよ!もし、彼らの秘密を知ったうえで仲良くできる存在に私たちが成れたらきっと彼らもより悩みなんかを話せるようになって楽しい学校生活を過ごせると思うのよ!」

「分かった、お前の作るクラブに入るよ。でも、クラブ作成には3人はいるだろ?あてはあるのか?」

「それは大丈夫!」


 陽菜に変な意図はないだろうと思っていたけど、やっぱりいいやつだと再確認した俺はこれまで接触を避けていた彼ら(怪異)と関わっていくことにした。

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