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正常化の可能性
気が狂いそうな世界の連続の中、今再び異世界へと移っていく。次はどれほどひどい世界なのか。
そうやって覚悟を決めていると、不意に懐かしい光景が訪れた。
そこは私の家の書斎だった。正確に言えば書斎に見える場所だ。たまたまよく似た場所に放り込まれているのかも知れない。壁紙の色と本棚の配置さえ大体似ていれば本物に見えるのだから。そもそも書斎がどう言ったものだったのか、あやふやな記憶しか思い出せなくなっているのだ。本当にこんな内装だったか? 合っているとも間違っているとも判断できないが、とりあえず感覚的におかしなものは見あたらない。イグアナの集団が棚の上からのぞき込んでくることも、カーペットの上で透明人間がタップダンスを踊っていると言うこともない。
平穏だ。
久しぶりに落ちつける場所に来れたことに心の底から感謝した。感謝の相手が一体何かは分からないが。