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流転
目を開けると空が見えた。私はどこか小高い丘にいるみたいだ。
また世界が変わったのか。どうやら世界と世界の間の移動は、自分のいる世界に強い疑問を感じたり異常な部分を認識したりすると起きるようだ。冷静に分析できるぐらい、四回も経験すると嫌でも慣れてくる。
さて、ここはどういう所だろう。まさかまた森だらけの世界に戻ってきてしまったのか。辺りは植物だらけだった。正確に言えば森か林の中で、私の立っている場所は人一人分ぐらい高い丘になっている。こんな光景はしばらく見たくなかったのだが。
馬の蹄のような音が遠くから近づいてきた。音の方向を見ると、本当に馬がかなりの速度で駆けてきていた。驚いたことに馬の上に乗っていたのは、侍だ。甲冑を着込み、戦場に馳せ参じるかのように侍は丘の横を颯爽と駆けていく。
映画の撮影と考えるのが常識的かもしれないが、今までのパターンからすれば……、今回は時代まで変わっている、ということか。
侍に出会ってから数分後、私はまた別の世界に飛ばされた。しかしまたしてもそこは、私のいた本物の世界ではなかった。