ココホレワンワン④
((あ~お腹すいた~何作ろうかな~))
のんきに考えたけど、私って寝てる場合だったか?っと思い、目を覚ます。
((やっぱり知らない部屋だ・・・))
あのまま知らない部屋の隅で私は寝て朝を迎えていた。
((やばい・・・私裸なんだった・・・・!!ってあれ!!!!!))
ちゃんと体がブランケットで隠せているか、気になってみると・・・そこにあった身体は・・“犬”だった。
((なんで!!なんで??さっきは戻ってたのに!!!))
訳が分からない。どうなっているのだろう?本当にそろそろ誰か説明してほしい。
再パニックに陥っている間に、ベッドから寝ていた人が近づいてきた。
もうこれ以上隅には行けないから、ささやかな抵抗で、ブランケットの中に頭も身体も全部を隠した。
「大丈夫か??話せるか??」
声が心配そうに聞いてくる。
((変な人ではないのかも・・))
ブランケットからそっと窺うようにゆっくり顔を出してみる。そこには昨日見た、シルバーヘアーに琥珀色の目をした男の人がクッションの前で片膝をついていた。寝ていたからか、ラフにガウンを羽織っていて、む、む、む、む、胸元が・・・がっつり腰まで開いている・・・((キャー))またブランケットの中に戻ってしまった。
だってムリムリムリ!!!お年頃の18歳だし、おじいちゃんと暮らしていたせいか・・そういうことには無縁の生活を送ってきたんです!男女共学の高校だったけど、家の状況とかもあって、他の子みたいに「彼氏が~」とかを避けてきた私には、刺激が強すぎる!
((どうしよう〜))
と考えているところで、コンコン、隣室のドアをノックする音が聞こえた。
「アーロン様、トマです。」
「あぁ、入れ」目の前の人が立ち上がりながら答えていた。
「おはようございます、アーロン様。昨夜は早々逃げて行かれましたが、おや、そのままここに?」
「いや・・・・ッ違がう。」
二人が隣の部屋で話し始めた。
そっとブランケットから頭を出す、不味い話なのかな?どういう人たちなんだろう・・・
「門の兵から、アーロン様が何かを抱えて戻られたと。」
「お前が思っているのとは・・・・違う。いや・・・違わないのか?」
「珍しいですね、そんなに動揺しているなんて。」
「奥にいらっしゃるようですが・・・この気配は?」
「見てこい。」
状況が分からず、動けずにもいると、一人がこちらのベッドルームに入ってきた。
入ってきたのは、アイスブルーの長い髪を後ろで一つ結びしている人だった。
「おや・・・“犬”・・・ですか?」
アイスブルーの髪の人が、ブルーサファイヤの瞳を大きく開いてこちらを見ていた。
((何?“犬”って珍しいの??・・・その髪の色は地毛ですか??))
「それにしても妙な匂いですね。獣化しているわけでは・・・ないのですか?」
「あぁ、魔力が感じられない、幼体でもない。獣化じゃないだろう。」
声のしたほうを見るとシルバーヘアーの人がベッドルームの入り口で、腕を組んで壁にもたれていた。
((あ~よかった。腕で胸元見えなくなってる。))
ホッとしてのんきに二人を見て気を抜いていたら、グぅー。
お腹が二人に聞こえるようにしっかり鳴った。
恥ずかしくて、“犬”の伏せのポーズをとってしまったのは、仕方ないと思う。