ココフォレ ファンファン③
城の自室に戻ってきた。
肩に担いだ“犬”を下ろそうとしたら、寝ていた。
((くッ!のんきに寝やがって!!))
ベッドになんぞ置いてやるかと思い、床に大き目のクッションを投げ、その上に“犬”を置いた。
“犬”は気持ちよさそうに、クッションに顔を寄せている。その可愛い姿を見て、なんとも言えない気分になる。
((頭を冷やそう・・・))自室の浴室でシャワーを浴びることにした。
((焦がれていた番に、会えたが、アレか?アレなのか??))
シャワーを浴びながら、無心になれず、考えてしまう。
番に出逢うこと、そしてその心を手に入れ、つがうことは悲願だ。番に出逢う前なら、人と同じように相手を選び結婚することも可能だ。だが、番に出逢ったら最期、もう他の異性は考えられないという。
俺ももう27だ。あきらめもしていた。30歳の兄上が番に出逢うことなく結婚を決めたとき、次は俺が腹をくくる番だと思った。
((それが・・・コレ・・・))シャワーから戻り、改めて“犬”を見る。
絶望で頭を抱えた。子供なら・・・まだ待てる。だがコレはどうすればいい??
ダンジョンに入った時でさえこれほどの気持ちにはならないだろう。
のどがカラカラだ。メイドを呼ぶ気にならず、キャビネットに揃えらえたお酒を一つ取りソファーに戻る。
水差しと共に備えてあったアイスペールから、グラスにアイスを入れ、お酒を注ぐ。強い蒸留酒だ。今日はこれがいい。一気に煽って、目をつぶる。「はぁー」アルコールの香りが思考と鼻を鈍らせていく。
酔いが回ってきた。ベッドに行くか・・・((コレはどうする・・・))
“犬”は変わらず、気持ちよさそうにクッションの上で寝ている。
そのままにしてベッドルームへ向かうが・・・落ち着かない。
((仕方ない・・・))
戻って“犬”が寝ているクッションごと、寝室に運び込む。ここでいいかと思い、すぐ目に入る真ん中に置いた。ふと、フットマンに置かれたブランケットが目に入ったので、ついでにそれを掛けておいた。