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屋上革命!  作者: やべー奴
3/19

七年前

俺は家に着くと手を洗い、ベッドにダイブした。そして2つの疑問について考えた。


1つ目は、何故ピッキングをしたことがバレたかだ。扉を開けるには職員室から鍵を盗むか、俺のようにピッキングするかだが、普通なら前者を最初に聞くだろう。というか後者を聞く奴は居ないと思う。俺は扉を開ける時細心の注意を払っているので見られていたとは考えにくい。


2つ目は、何故彼女は屋上を目指していたのかだ。仮に俺が上に登る様子を見ていたのなら何故そこで声を掛けない?彼女は俺が30分の日課を終えて扉を開けた時そこにいたのだ。俺が昼飯食い終わるのを待っていたのか?いや、彼女のようなグイグイくる女が黙って30分も扉の外で待つわけがない。だとすると、彼女にも屋上に行きたい理由があったのか…?


ガチャ


「ただいまー」


玄関の開く音と父の声がした。手元の時計を見ると20時を回っていた。どうやら寝落ちしていたようだ。俺は飯を求めてリビングへ向かう。


「なんだ、寝てたのか?」


「うん」


「買ってきたから適当に食え」


「ありがとう」


父と食卓を囲む。父親がポツリとこぼした。


「明後日でもう七年か」


「早いね」


母が殺されてから7年。


父の前の仕事は不動産関係で、ヤクザなどとも関わりが深かったらしい。そして7年前に父がドジをしでかした。致命的なドジだった。当時経営難に追われていた父は家族の為に金を色々な所から借りていたのだ。知り合いのチンピラやヤクザの末端などから。勿論返せる見込みもなく、やがて会社は倒産し父は母と俺を引き連れて夜逃げした。ただ金の事になると人間はそう簡単には逃しちゃくれない。家もすぐに突き止められ、激しい取り立てが始まった。あの扉を叩く音は今でも忘れられない。母は体が弱かったので仕事ができず、家にいた俺は母と一緒に音が止むのをひたすら待っていた。俺に母を守りたいという男の本能が芽生えた。


夜逃げから1ヶ月後、地元の小学校に通うことになった。母を家に独りにするのは怖かったが母にも説得され仕方なく決めた。


父はアルバイトを掛け持ちし家計を支え僅かながら金を返済していた。けれど取り立ては一層激しくなり


「はよ返さねぇとおたくの奥さんとガキ殺すよ?」


という脅しの声が父の携帯から漏れた。父はひたすら謝っていた。親の謝罪ほど見たくないものはない。


そしてその日がやってきた。いつものように授業を受けていると事務のおばさんが教室の外に立っており、それに気がついた担任が廊下で話を始めた。ガキの俺は授業潰れたラッキーとしか思っていなかった。すると突然声がする。


「平本くん!ちょっといいかな?」


身体に電気が走った!


渋々立ち上がり廊下にでると外に連れていかれ、正門の前にはパトカーが止まっていた。全てを察した。そして初めてパトカーに乗り込む。


「授業中ごめんね。ちょっと今から警察署に行ってお父さんと会ってもらうからね」


横に座ったガタイのいい警官が優しく話しかけてきた。


「おかあさんは?」

俺は恐る恐る聞いた。


「ケガをしたみたいで今病院で治して貰っているんだよ」

警官は優しく答える。


「お巡りさんがいるってことは事件なんですよね」

淡々と質問する。


「詳しい事は後で話すから待っててね」

少し焦って答えていた。


警察署の小部屋に入ると(うつむ)ている父を見つけ声をかけた。


「あいつらがお母さんを…」

この先は言えなかった。


父は小さく一回コクリと頷いた。

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