天国への階段
―――――30分前
「じゃあ来週は小テストなのでしっかりやってくるように。では号令を」
「起立!気をつけ!礼!」
「ありがとうございましたー」
授業が終ると同時に左後ろへ振り返る。やっぱり今日も平は別の場所で食べるらしい。
「おい中村食うぞー」
安藤がポンと肩を叩く。
「おっけー」
平がいない時は俺、安藤、石田、堺、菊池、の5人で昼飯を食っている。石田は平の前の席のやつでめちゃくちゃノリが良い奴だ。堺はイケメンで彼女持ちのリア充さん。菊池は頭が良いけど性格が歪んでる。因みにを俺と平は帰宅部で他はバリバリの運動部だ。
「今朝こと教えてくれ」
安藤には昼飯の時に言うと約束していた。
「何今朝のことって?」
3人は疑問符を浮かべていた。
「いやぁ、登校中に平から本を返してもらおうとアイツのリュック開けたらめっちゃ怒鳴られてさー。"やめろ!"って」
「それはお前が悪い」
4人で口を揃える。
「いやいや確かにそうなんだけど、あんな必死に何かを隠す平を初めて見たから中に何が入ってたのか気になってよ。それで中村は中身が分かったらしいんだ」
まだ推測の段階なのに無駄に期待値を上げるゴリラさん勘弁してくれ。
「めっちゃ気になるわ」
最初に食い付いたのは菊池だった。あとの二人はどっちでも良さそうな顔をしてた。
「よろしい。アイツが隠していた物をアイツの昼飯スポットと関連付けて教えよう」
「おお!!」
なんか全員食い付きやがった。
「では安藤!平は一体どうして俺らにスポットを教えないと思う?」
「えー、邪魔されたくないから?」
「そうだ!そして一体何を邪魔されたくないと思う?石田!」
「オナ―――」
ボコッ
こいつは駄目だ。女子が近くいようと平気でこういうことを言う。安藤のバカは爆笑してるし、本当にしょうもない奴らだ…。
「本当に低俗だなお前らは。じゃあ気を取り直して答えてくれ堺!」
「わかった!女だろ」
「流石はモテ男!俺もそうだと考えた。そこから推理すると女といる時に使うバレたらマズイ物だ。菊池は何だと思う?」
「んー、コンド―――」
堺が菊池を叩く寸前で俺は堺の手を止めた。
みんなが俺を見る。俺はキメ顔で言う
「そう、コンドームだ」
4人から叩かれた。
「おいおい朝から溜めといて答えはそれか?」
みんな呆れているがこれは俺が導き出した唯一の最適解なのだ!
「じゃあ聞くが他に当てはまるやつあるか?ほら無いだろ?」
「だとしてもあの奥手な平に女がいるなんて想像つかねぇーな」
ゴリラに言われる平も可哀想だ。
「つーか学校でヤれる場所なんてそうそう無いよ」
経験者は語る。
「俺は授業中どこでヤれるかを考えていた。晴れの日にしか行かないということは外だ。でも敷地内だと一瞬でバレるが一箇所だけ外でもバレない場所がある。」
「あっ!わかったわ。でも無理じゃね?」
頭の良い菊池はすぐ気づいたようだ。
「えー全然わからんわー。晴れの日?ヤれる場所?」
「もったいぶってもしょうがないから言うね。そこは屋上だ」
「あーー」
ゴリラ、石田、堺が声を出す。
この推理にはかなりの自信があったから早く確かめたくてしょうがなかった。
「それなら納得いく。けど屋上って立入禁止だよな?」
「確かにそうだけど職員室から鍵を盗めば行けんじゃね?」
正直鍵を盗むのは至難の技だが平ならやってのけそうな気がした。
「まぁ、正解は見に行けば分かる。だから飯食い終わったら突撃するぞ」
「いや、もしも推理が当たってたらまずくね? 平ってキレたらヤバそうだから俺はパス」
堺が抜けた。そこから菊池、石田も同じように抜けていった。
「中村は推理に自信あるんだろ?なら一人で行ってこい!写真も頼むわ」
ゴリラにまで抜けられるとは…。みんなは気にならないのか?まぁいい。一人で行ってやる。
「へいへい。一人で行けばいいんだろ?」
昼飯を食べ終え屋上へと向かう。なんだかんだで屋上の階段を使うの初めてだった。音を立てないようにゆっくりと登っていく。そして扉の前に着くと足元に鉄粉が落ちていた。
(何だこりゃ)
しゃがんで粉を触っていると扉の向こうから人の声がした。
(ビンゴだ!これは平の声と聞き覚えのある女の声だ)
声は分かるが寝落ちする寸前に聴くラジオのように言葉を理解することができない。体が段々と扉に近づき耳が扉に当たる。さっきよりも声が聴きやすくなり言葉として耳に届く。
(ん?"神の使う生殖器"だと…。一体どんなプレイをしてるんだ平は)
笑いを堪えながら耳を澄まし続ける
("これで妊るの?" って言ったよな?)
もう吹き出す寸前まできていた。
("銃弾を何発か撃つ"だと?なんでこいつらプレイ中に比喩を使ってるんだ?)
堪えていた笑いが小さく口から漏れる。そのせいで会話が聴こえなくなってしまった。
ガチャ
突然扉が開き目の前には平が驚いたように立っていた。
しまった!と思ったがふと視界にはいる拳銃。
「えっ」
力なく口から漏れた声が階段に響いた。




