唐突
「屋上革命?」
「そう!私天才かも」
カッコいい名前が欲しくてわざわざ家で考えてたと思うととても可愛く感じる
「その屋上革命はいつ終わるの?」
「祐介が仲間になった以上色々と話さないとね。どこから話そうかなー」
彼女は何かを考えながらクルクルと歩いている。
ああ、心が踊りっぱなしだ。こんなワクワクする時間が一生続けばいいと思ってしまう。恐らくあっという間に時間が経過し世界が終わるだろう。今この瞬間がかけがえのない尊い過去になってしまうと思うと辛い。
「時間はまだあるから最初から頼む」
「じゃあ1つ目ね。屋上革命の事を他人に絶対に漏らさないこと。これを破った瞬間祐介の頭をもぎ取る」
また急に怖いことを言い出す。こういうアップダウンは何回目だろうか。
「そんなことは絶対にしない」
「よろしい!この会話を信じる者は中々いないだろうけど、確実に他のリスクを0にしたい。些細なことで足元をすくわれるなんて言うのはよくある話だ。」
正論だ。彼女は完全な不死身で無いから本気で信じた人間がいたらそれはリスクになり得る。
「2つ目は敵の存在について――」
「敵!?」
思わず彼女の話を遮ってしまった。
「黙って。まだ話してる途中だから」
彼女は俺の口の前に人差し指を立てながら言った。
「はい」
凄まじい圧を感じた。
「私が敵の気配を感じたのは昨日が初めてだ。破壊に向けて日に日に力が増えているからそういう類のものも感じ取れるようになったのかな」
「敵は三波と同じように神なの?」
「いや、神ではないよ。詳しいことは分からないけど前の星でも同じような存在が確認されている。おそらく奴らは神がこの学校にいる事をかなり前から知っていたはずだ。だから複数の気配を近くに感じる」
「じゃあ敵はこの学校の生徒なのか」
「うん、それで間違いなさそう。そしてさっきも言った通り私の力は増大している。私が神であると断定されるのは時間の問題だ」
「敵さんの力はどのくらいなの?」
「前の神の記憶を見ると、めちゃくちゃ弱いね。見る限りだとアスリートの1.5倍くらいの身体能力じゃないかな? 私と比べたら天と地の差があるよ。」
頭の中にメイウェザーとボルトを足して1.5倍した人間が浮かび上がる。うん、化け物だ。でもこっちには神がいる。
「三波は最強だから敵なんていないも同然じゃん」
「でも私は敵が誰かまでは今のところ分からない。そして裕介が狙われる可能性は0じゃない」
そうだ。普通に考えたら俺は革命の協力者で彼女は俺がいなかったら葛藤で革命を諦め自殺するかもしれない。俺が革命のキーパーソンなのは明らかだ。そして敵が狙うなら弱い俺だ。
さっきまでのワクワク感が嘘のように消えた。
「敵は俺が三波の協力者だと気づいているのかな?」
「さぁ、そこはなんとも。既に気がついてる可能性もある。敵もそれぞれ個体差があるからね。力のある奴はもう私を怪しんでいるかもしれない。」
仮に彼女を神だと怪しんでいる敵がいたら何日も接触している俺が狙われる可能性も出てくる。
「私の協力者辞める?」
「まさか。辞めたら殺されちゃうし、仮に殺されず、このクソみたいな世界に生きたってこれほど面白い事には絶対に巡り会えない。辞めない、約束だ」
死ぬにしても敵と戦って死ぬのはロマンだ。少しワクワク感が戻った。
「やっさしいーー」
手を後ろに組んで上目遣いでこちらを見てくる
「俺は神に仕える聖職者だからね!」
「そんな聖職者に護身用の武器を差し上げます」
そう言い彼女は右手を挙げる。すると掌の前の空間が歪みだす。歪んだ空間が小さい穴を空け、そこに彼女は手を突っ込む。
「はいこれ」
おもむろに差し出してきたのは自動式拳銃だった。
「これで身を護るの?」
受け取った拳銃は予想より軽かったが嫌な重さを感じた。
「そう。敵の身体は人間だから銃弾を何発か撃てば死ぬはず。」
そう言いながら予備の弾倉を差し出してくる。
「分かった」
俺は即答した。ここまで来たら撃つしかない。
「そうだ拳銃は初めてだから―――」
彼女は話を中断するとニヤけながら出入り口の扉を見つめる。
「その扉の向こうにいるのは誰かな?」
「て、敵か?」
銃を強く握る。
「いや、そんな気配はしない。普通の人間だろう。そうだ祐介、話を聞かれたかもしれないからそいつ殺してきて」
「え…」




