4裸の男教会に侵入
正面から中に入ると、教会の聖堂の様な場所に出た。
聖堂内は白を基調に赤と金の装飾がしてある。中の人もまばらで、特に礼拝みたいな儀式は今はやってない。
その、まばらな人達は召喚の場にいた者らと同様、白いローブを着ている。
おそらく教会関係者が、召還のあれやこれやで頑張っていたのでしょう。
こちらからしたら非常に迷惑な話だけどね。
先ほどの様に、
「誰かについていく!大!作!戦!」
でさっさと金目のものを探していく。
上へ上へ。
バカと偉そうなやつは大概上にいる。
貧乏人は大概、大事な物は下に隠す。
なんでだろう?
ま、俺の勝手なイメージだけど。
そんな俺の勝手なイメージに沿って、 階段で上に上がろうとする、年配の神官さんについて行く。
……確かこの人召喚の場に居たはず……。
……偉いやつに報告に行くのか?
そう思い、神官に付いて歩い行くと、正面に偉そうな奴が居そうな扉を見つけた。
コンコン
「失礼します。」
そう言って神官と『俺も』中に入る。
「儀式に必要な神官はどれくらいでそろう?」
召還の時に見た神官長らしき人が、書斎に座りながら聞いてきた。
「体力を大分消耗しております。3日はかかるかと。」
「遅い。2日間に合うようにしろ。陛下にせっつかれてな。貴族どもも横でやかましいこと…。
だが、あの汚らしい国を浄化するために、奴らもやっと本腰を入れたのだ。
こちらもそれなりに対応せんとな。」
「亜人の浄化は我らの悲願。まして獣人など悪しきものは早々に浄化を。
だがやつらの戦力は強力です。
多く産んで、早く育ち、身体能力はまさしく獣。
魔法が使えんのが幸いですな。」
「ははっ獣だからな。」
「そのバルトの密偵からの報告ですが、特に軍隊の方でこれといった動きはないそうです。
武器防具の動きも無し。
ただ、豊作だった割に食料の輸出が少ないとか。」
「ふん。それは国王が考えることだ。
奴らも当然知っとる。
だが召還は早めんと。
貴重なスキルを持つ異界人、その戦力の補充は急務だ。
我らイシラス教の権威を広めるためにもな。」
どうやら僕らは宗教がらみの戦争で召還されたようだ。
このままだと、他の人達も使い潰される可能性がある。
せめて召還出来なくなれば、待遇も良くなるかもしれないけど…。
「では、神官長は今日は礼拝は出ずに休むがいい。」
「いえ、教皇様、私は大丈夫です。」
「休め。お前も召還に必要なのだ。大人しく休みなさい。」
「……わかりました。では部屋に戻ります。」
神官長が退出してから、教皇さんが書斎横の本棚の本を一冊抜いて、抜いた本棚穴から手を突っ込んだら、本棚と本棚の間が開いた。
隠し扉。ベタだな。
開いたら中に入ってく。
勿論俺も。
中に入ると、ここにも小ぶりな書斎と、その上に召還の時に持ってた、宝石の付いた杖が。
鑑定したら、
異界召還の杖
【付与】
異次元 召還[人属]
【効果】
数々の異界から人をランダムで召還。
喚び出す。
人数は使用した魔力に比例する。
召還はできるが、返還は出来ない。
元凶はこれか。
よし、パクろう。